大学国際戦略本部強化事業【SIH】  リンク集 サイトマップ English

 事業・組織 大学国際化のためのお役立ち情報 JSPS主催シンポジウム等情報 JSPS調査報告 JSPS海外研究連絡センターより
HOME > JSPS海外研究連絡センターより > 競争の始まり:10大学がエリートになれる

競争の始まり:10大学がエリートになれる


http://www.dfg.de/aktuelles_presse/reden_stellungnahmen/
2006/download/exin_gemeinsame_pm.pdf

(「エクセレンス・イニシアチブ」の一次選考結果)
dpa, Nr. 4/2006 23 Januar 2006


ドイツの新しい大学支援プログラム「エクセレンス・イニシアティブ」3本柱( (1) 30の先端研究施設(エクセレンス・クラスター)設立、(2) 40の大学院(グラデュエート・コレーグ)支援、(3) 10のエリート大学支援)の第一次選考結果が1月20日発表された。今後、候補となった大学は詳細な提案書を作成し、DFGに提出することになっているが、エクセレンス・クラスターでは41候補のうち15大学、大学院支援では39候補のうち20大学、エリート大学支援では10候補のうち数大学が最終選考され、10月に決定される予定である。エリート大学支援で選考された10大学は歴史のある伝統校であり、Baden-Wuerttemberg州が4校、Bayern州が3校、そしてNRW州, Bremen州とBerlin州が各1校と、完全に南高北低・西高東低型の結果となった。


ドイツの大学間で厳しい競争が始まっている。10の大学がエリート大学として連邦政府と所在州政府から高額な援助金を受ける資格が得られる。独学術評議会(Wissenschftsrates-WR)とドイツ研究協会(DFG)の連邦・諸州のエクセレンス・イニシアティブ協同委員会が1月20日に発表した。一次予選ではAachen-、Karlsruhe工科大学、Bremen-、Freiburg-、Heidelberg-、Tuebingen-、Wuerzburg-、Berlin自由大学、Munchen、 Munchen工科大学が選考されている。


独学術評議会会長Karl Max Einhaeupl氏曰く、エクセレンス・イニシアティブは「ドイツの大学システムにおけるパラダイム・シフトを呼び起こす。」「今回初めてすべての大学が正式な競争で競い合っている」。連邦研究相Annette Schavan氏(CDU)はエリート大学と言うタイトルと援助金を巡る第一回戦を通過した10の大学に祝意を表した。エクセレンス・イニシアティブはSchavan氏の前任者Edelgard Bulmahn氏(SPD)によって諸州との長い論争を通して交渉されたものだ。


この競争で1月20日にグラデュエート・コレーグとエクセレンス・クラスターの振興を巡った予選結果も発表された。これにより、39のグラデュエート・コレーグと41のエクセレント・クラスターが選抜の対象になった。合計36の大学が第一回戦で三本柱の振興カテゴリー内の少なくとも一つを通った形になった。エクセレント・クラスターではBerlinフンボルト大学、Berlin工科大学、Darmstadt-, Goettingen-, Hamburg-, Kiel大学、Hannover医大、その他が快調である。


Schavan氏は「科学は決断し、最高のコンセプトを選抜した。これから第二回戦、つまり最終戦へと進む」と言った。この競争によってエクセレンスが集中的に振興され、存在する長所・強みが国際的に明らかにされ、さらに諸大学が将来への戦略を考える励みになる。「数多くのレベルも高い応募はドイツの大学の強力なポテンシャルを示している」とSchavan氏は強調した。


Einhaeupl氏はエクセレンス・イニシアティブは「等質性の概念から離れ、多様性と親しむための、長らく待ち望まれたドイツ大学システムのパラダイム・シフトを後押しする」と語った。協同委員会は自らの歴史的役割に対しての自覚を持っているとのこと。この競争は大学界の分化を促進するであろう。そしてこのイニシアティブを通して諸大学にようやく己のプロフィールを研ぎ澄まし、アイデアを素早く実行に移す手段が手に入ることになる。「この競争によって様々なモデルを実験し、実行可能と確証することが出来た」と、Einhaeupl氏。


SPDと緑の党の連立が立ち上げたこの競争はもう既に大学界でのポジティブな動きを促していると、緑の連邦議会党派の教育・研究政策の広報担当者(Sprecherin)Priska Hinz氏は語った。同時に彼女はエリート大学の選抜によってその他の大学の評価が下がったり、援助金削減などの状況に追い込まれぬよう警告した。“諸燈台(エリート大学)”のライトアップが反して他の多数の研究者や学生を陰に立たすようなことになってはならないと、Hinz氏。


燈台になるべくしての応募資格を持った10の大学の内4校はBaden-Wuerttemberg州、3校はBayern州、そしてそれぞれ一校づつがNRW州, Bremen州とBerlin州の大学である。驚くべきなのはBerlinフンボルト大学ではなく、Berlin自由大学が“トップ・テン”の中に選ばれたことだ。旧東ドイツの大学ではどこも燈台の資格を得られなかった。もっともDresden工科大学はグラデュエート・コレーグ、Leipzig大学はエクセレント・クラスターへの申し込みが可能だ。


Bayern州科学相Thomas Goppel氏(CSU)はBayern州、Sachsen州とThueringen州がかなり良い成績を出していることを強調した。第一段階の関門をクリアした企画の5つに1つはBayern州の大学による物だったそうだ。「首都ベルリンはMuenchenと並んでドイツでの秀でた科学拠点」と、Thomas Flierl氏(左翼党)。「自由大学にとって今回の評価は“大きな成功”だ」と。フンボルト大学新学長Christoph Markschies氏はそれに対し、自分の大学にとっては反対に“重視すべき警告”として受け取った。


第一の応募時には74の大学から合計319の草案申し込みが提出された。その内の157は振興三本柱の一つのエクセレンス・クラスター、135はグラデュエート・コレーグ、そして27が三本目の未来コンセプト(エリート大学)に振り分けられた。


始めの2本柱に当てはまる300ほどの応募草案の評価はDFGの20の多国籍評価グループによって行われた。判定基準となったのは科学的クオリティー、学際的なアプローチ、国際的な可視度、そしてローカルの研究施設との統合。申請の中からの「燈台」候補としての選抜は草案の分析、大学の研究能力、過去における大学の発展、および評価者の評価書や横断グループによる比較照合によってだ。


DFGと独学術評議会によるとグラデュエート・コレーグの申し込み草案には学際的な結合が強く見られ、幾つかは複数の学部を統一させている。主な分野である人文科学、社会科学、生活科学(Lebenswissenschaft)、自然科学、エンジニアリング科学での応募率はほぼ同じである。同じく学際的なエクセレンス・クラスターの方はしかし違った形を見せている。応募の3分の1は生活科学的、医学的方面に分類され、それぞれ4分の1づつが自然科学、エンジニアリング科学からだ。それでも応募の多くには人文科学と社会科学も含まれており、全体の10%を超える。


第一関門を通過した諸大学は4月20日までに詳しい応募書を提出しなければならない。10月13日にエクセレンス・イニシアティブ採択委員会はどの20のグラデュエート・コレーグ、15のエクセレンス・クラスターと未来コンセプト(エリート大学)数校が11月より5年間支援されるかを決定する。第二回目の募集選抜も2006年の4月に始まり、2007年の10月に決定される。


このプログラムは各年間平均100万ユーロでの40のグラデュエート・コレーグ、各年間平均650万ユーロで30のエクセレンス・クラスター、そして未来コンセプト(エリート大学)に関してはまだ未定の援助金額で支援を予定している。


エクセレンス・イニシアティブは研究の全資金支援へのアプローチへと繋がる。それによってすべての企画に研究のための器材調達費、賃料など間接経費にあてられる20%の承認金が追加される。連邦・諸州・プログラムは2011年までの5年間で19億ユーロを支出する。予算の75%を連邦が、25%を各州が負担する。


(JSPSボン研究連絡センター発行『ぼんぼん時計(平成18年春 第11号)』掲載)