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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

J Robin Warren

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成19年
 
4月18日(水曜日) 午前6時30分成田国際空港到着、羽田空港へ移動。羽田空港で担当者と合流し、飛行機で青森空港に到着。昼食を摂りながら青森滞在中の日程について確認。その後ホテル青森にチェックイン。同ホテル宿泊。
4月19日(木曜日) 午前、青森から自動車で弘前市へ移動。弘前大学医学部細菌学中根教授、病理学鬼島教授と会食し、弘前大学での特別講義の打ち合わせ。14時40分より医学生、大学院生を中心とした200名の参加者に対し、同時通訳を準備した上で、ノーベル賞受賞にいたるWarren博士の研究経緯を講演。聴衆に新しい研究を着想する難しさと、さらにその研究を維持することの重要性を解説した。講演後は学生の質問に応じ、写真撮影などの交流を行った。終了後青森に移動し、ホテル青森泊。
4月20日(金曜日) 午前、青森市で行われている日本消化器病学会の特別講演の打ち合わせ。午後1時30分より、青森市文化会館において、第93回日本消化器病学会総会において約400名の参加者に対し、ノーベル賞受賞にいたるWarren博士の研究経緯と胃炎、十二指腸潰瘍について講演。夕方より同学会の拡大プログラム委員会に出席。ホテル青森宿泊。
翌日、空路東京へ移動し、週末は東京都内で休息。
4月23日(月曜日) 10時50分羽田発NH 885便で空路富山へ到着(11時50分着)。富山大学大学院杉山敏郎教授と高原照美准教授が随行して、富山大学本部(五福キャンパス)に出向き、富山大学西頭学長および理事と会談をした。その際、富山大学西頭学長から名誉博士を授与された。その後、富山大学杉谷キャンパスに移動し、大学の研究部部門を総括している倉石理事、村口篤副学長(免疫学教授)、和漢薬研究所の小松教授らと会談した。Warren博士からノーベル賞受賞にいたる研究の経緯などについて説明を受け、小松教授からは、ヘリコバクター・ピロリ菌を抑制する漢方薬などについての意見交換があった。
16時15分から17時30分まで、富山大学杉谷キャンパスの講義実習棟大講義室で『ヘリコバクター・ピロリ菌 -新発見の光と陰ー 』と題して特別講演を開催した。学部学生、大学院生、教職員など約450名以上の参加があり、ノーベル賞受賞にいたるWarren博士の研究経緯を講演。今までの概念を覆す新発見が学会に受け入れられるまでの苦労や難しさ、それを証明するための方法論などについて解説した。講演後、若手の研究者3名、教官2名から熱心な質疑応答があり、参加した多くの研究者に大きな感銘を与えた。
講演会終了後富山全日空ホテルに移動し、18時15分から富山大学西頭学長、理事、副学長、医学部教授、医学部内科学の教官、富山医科薬科大学元学長佐々木博先生らと懇談会を開催し、研究について討論するとともに親交を交わした。
富山全日空ホテル宿泊
4月24日(火曜日) 富山大学大学院杉山敏郎教授、富山大学医学部峯村正実講師、工藤俊彦講師、宮嵜孝子助教、富山大学大学院生中嶋隆彦医師で、富山の文化、特徴、大学についてWarren博士に紹介した。
その後、富山大学医学部の大学院生を含む若手研究者と懇談会を開催し、その研究内容、研究手法、研究へ姿勢について意見交換し、親交を深めた。
富山全日空ホテル宿泊
4月25日(水曜日) 8時40分富山発NH 884便で空路羽田に移動し、乗り換えて羽田より大分に移動した。
大分空港着(12時55分,NH 193便)。14時に全日空ホテル着。やや体調不良(風邪気味)のためその後は休息。同ホテルに宿泊。
4月26日(木曜日) 17時30分より医学部の見学および医学部学生・教職員約250名に対して、"Discovery of Helicobacter pylori"と題してヘリコバクターの発見からその後の研究,ノーベル賞受賞にいたる過程を約45分間にわたって講演。講演終了後に,学生および教職員と質疑応答を行い、ノーベル賞のメダルを手にした学生との記念撮影を行った。ノーベル賞受賞者の生の講演を聴き,更に記念撮影や身近で質問ができた事は,特に学生にとって大きな刺激となり,彼らのモチベーションの昂揚に役立ったと考える。なお、講演内容は許可を得てDVDに収録し、その後の教育に積極的に活用している。
4月27日(金曜日) 午前10時30分より、羽野 忠(大分大学学長)を表敬訪問。最近のピロリ菌研究の現状と進歩について、約1時間意見交換が行われた(同席:加藤征治 研究担当理事、藤岡利生 医学部副学部長)。
午後2時から、大分全日空ホテルで開催された「第1回アジアヘリコバクター・ピロリ感染症研究会」に出席し、アジア諸国から参加した共同研究者に対して最近の話題と、今後の研究の方向性について講演した。
終了後、同ホテルでアジア諸国からの参加者を交えた懇親会を開催し、今後の研究の方向性について親しく懇談し、とくにアジアでの研究を推進することの重要性を強調された。
4月28日(土曜日) 12時30分にホテルから大分空港に移動、羽田空港経由で成田国際空港から帰国された。

受入実施の状況とその成果

J Robin Warren博士の来日,および日本各地での記念講演会の実施は,日本消化器学会会員は勿論であるが,日本の多くの大学(弘前大学,富山大学,大分大学)の研究者および一般市民にとっても極めて意義深いものであり,我が国の国民に深い感銘を与えた。

J Robin Warren博士の「ノーベル賞受賞記念講演」は,ヘリコバクター・ピロリ菌発見の経緯,そしてこの後の展開についての内容であり,博士の真摯な人柄からにじみ出る奇をてらうことのないもので,大発見が単なる偶然ではなく,偉大な新発見を導くための日ごろの熱意と努力がその基本に存在したことを知り,多くの聴衆に深い感動を与えた。

前述したように,Warren博士の来日の期間中に記念講演を拝聴した人数は1000名以上に達し,ヘリコバクター・ピロリ感染と胃癌発症との関連がほぼ明らかになった現在,胃癌多発国である我が国の研究者及び国民に深い感銘を与えた。さらに,アジア諸国の研究者に対しても深い感銘を与えた。

このように,ヘリコバクター・ピロリ菌発見についての十分な記録を今後の研究の発展へと繋げる重要な機会を与えていただいた日本学術振興会に対し心から感謝の意を表します。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

Warren,Marshall両博士のノーベル賞受賞の理由は,ヘリコバクター・ピロリが胃炎の原因であり,その除菌治療により消化性潰瘍再発が著しく抑制されることであった。近年の治験では,ヘリコバクター・ピロリの持続感染が長時間を経て胃がんや胃マルトリンパ腫の発症につながることも明らかになっており,最近では消化器におけるSlow Bacterial Infection が注目されている。これらの視点に関して,その発見者であるWarren博士からの直接のメッセージは,若手研究者への新たな刺激として十分なものであった。また,本招へいを通じて我が国のヘリコバクター・ピロリ感染対策がより一層の進展を示すとともに,本菌の感染頻度が高いアジア地区への対策が日本の指導によりさらに進歩することが望まれる。今回は,大分大学で開始されたアジアにおける胃癌研究プロジェクトに対しても大きく貢献して頂いた。Warren博士の講演は,招へい受け入れ機関である大分大学のみならず,ヘリコバクター・ピロリ研究の専門学会である日本消化器学会会員や,今回の共同ホスト校及びホスト施設を努めていただいた,弘前大学,富山大学の今後の研究の発展に大きなインパクトを与えることが期待される。