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外国人著名研究者招へい担当
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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Joan A. Steitz

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成20年
10月20日
来日
10月21日 午前:東京大学医科学研究所訪問、研究者との意見交換
午後:自然科学研究機構事務局訪問及び報道機関取材 自然科学研究機構主催歓迎レセプション(於:ホテルオークラ東京)
10月22日 午前:東京大学坂野研究室訪問、研究者との意見交換
午後:日本学術振興会理事長との懇談    東京大学安田講堂において講演(分子生物学フォーラムin東京)
10月23日 午前:岡崎へ移動
午後:分子科学研究所、基礎生物学研究所及び生理学研究所訪問、研究者との意見交換
10月24日 午前:大学院生等との懇談会
午後:自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターにおいて講演(分子生物学フォーラムin岡崎)
10月25日 帰国準備
10月26日 離日

受入実施の状況とその成果

今回の招へいでは、東京(東京大学安田講堂)及び愛知県岡崎市(自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンター)の二カ所で「ワトソンとスタイツが語る未来の生命科学」と題して自然科学研究機構分子生物学フォーラムを行った他、本機構の基礎生物学研究所、生理学研究所及び分子科学研究所内の研究室並びに東京大学の研究室を訪問し、研究者との意見交換を行った。

10月21日(火)にWatson博士及びSteitz博士は、本機構を訪問された際、NHKの取材を受けた。本機構の経営協議会委員であるジャーナリストの立花隆氏との対談の中で両博士は、これまでの研究成果を分かりやすく説明し、日本の研究者及び研究者を志す人に対して自然科学や分子生物学への興味を高めるようなメッセージをいただいた。この対談はTV放映され、社会に対して広く伝えることができた。

10月22日(水)に、東京大学安田講堂においてフォーラムを開催した。本フォーラムでは、若手を中心とした研究者及び一般の参加者約1,000人に向けた両博士による講演が行われるとともに、立花隆氏、坂野仁東京大学理学系研究科教授及び志村機構長を加えたディスカッションが行われた。同ディスカッションでは、「生命とは何か」、「がんをコントロールできるか」、「研究者としてどうあるべきか」など、両博士へ寄せられた会場からの質問に対して活発な討論が行われ、研究者のみならず参加した学生にとっても大変有意義なフォーラムとなった。

このフォーラムに先立って、東京大学医科学研究所、理学系研究科を訪問し、研究者との意見交換を行った。両博士は、研究施設等を見学し、遺伝医学関係及び神経科学関係の研究室の教授及び若手研究者等から現在の研究課題について説明を受け、それらの内容について討論を行った。その後、若手研究者・大学院生との懇談があり、研究者としての心得等について助言をいただいた。

10月23日(木)に、分子科学研究所、基礎生物学研究所及び生理学研究所を訪問し、各研究所の研究内容の説明を受けるとともに、両博士と活発な意見交換を行った。

10月24日(金)には、岡崎コンファレンスセンターにおいてもフォーラムを開催した。本フォーラムでは、基礎生物学研究所、生理学研究所及び分子科学研究所の若手研究者、大学院学生を中心とした約400人の参加者に向けて、自身の研究活動等を中心により専門的な講演が行われた。

このフォーラムに先立ち、基礎生物学研究所、生理学研究所及び分子科学研究所で学ぶ大学院生15名が企画した懇談会が行われた。Steitz博士に、女子学生から「女性研究者として、大変だったことは何ですか」などの質問があり、「少数派として孤立してしまうこと。」「女性研究者同士で話すことは大変有意義ですよ。」との答えに学生達は聞き入っていた。また、Watson博士に対する「ご自身の研究の成功には、遺伝子と環境のどちらが重要であったか」との質問には、「おそらくどちらも重要であっただろう。良い教育を受け、良い先生に出会う、このような環境はとても重要だ。」と述べられるなど、熱心に答えていただいた。

両博士との直接の懇談は、大学院生達にとって大変貴重な時間となった。

二度のフォーラムと精力的に行われた研究室の訪問、研究者との意見交換により、今回の両博士の来日期間中には、非常に多くの若手研究者・大学院学生が、両博士の持つ分子生物学全般に関する幅広い知識とこれまでの研究経験に基づく深い見識に触れることができた。

また、若手研究者・大学院学生のみならず、他の研究者にも大いに刺激を与えるものとなった。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

Watson博士及びSteitz博士は、10月22日(水)の東京大学安田講堂におけるフォーラムにおいて、出席者の多数を占めた、とりわけ若い研究者や学部学生・大学院生等へ向けて、「何を研究テーマとするかは、まず研究者自身の好奇心が基になければいけない。」とアドバイスするなど、研究者となるうえでの心構えをご自身の経歴、現在の分子生物学分野の状況等を交えて講演された。参加者にとっては、世界の第一線の研究者の言葉を直に聞き、その人柄に触れることのできるまたとない機会であったとともに、質問票を利用してではあるが、ディスカッションにも参加できたことは大変貴重な経験となった。本機構にとっても、自然科学分野の研究に挑戦している若い研究者や学部学生・大学院生に対して、特に今回は分子生物学分野における、DNA、RNAさらにその後の生命科学と続く研究テーマについてフォーラムを開催できたことは非常に有意義であった。

10月24日(金)の岡崎コンファレンスセンターにおけるフォーラムでは、主に本機構の基礎生物学研究所、生理学研究所及び分子科学研究所の若手研究者・大学院学生を対象としてご講演いただいたが、両博氏の持つ分子生物学全般に関する幅広い知識とこれまでの研究経験に基づく講演を直接聴き、活発な討論を行うことができたことは、特に若手研究者が本機構で研究を進めていく上で大きな刺激となった。

更に、2回のフォーラムは広く一般の方も参加できるものとして開催したため、本機構の広報活動においても寄与いただいた。

また、基礎生物学研究所、生理学研究所及び分子科学研究所で学ぶ大学院生15名との懇談会においては、大学院生達の「二重らせん構造の発見に至るまでに大変だったことは何ですか」「なぜDNAに着目したのか」などの問いに、Watson博士から当時の様子を交えて語られ、「研究生活と家庭の両立に関してはどう考えるか」との質問にも、Steitz博士からは、「大学などの研究機関は子育て支援を十分に行う義務があり、Watson博士が会長を務めるコールドスプリングハーバー研究所には立派な保育所がありますよ。」と答えるなど、質問に対して丁寧に語られ、大学院生達は熱心に聞き入っていた。

Watson博士は最後に、生物学の今後について、遺伝子解析などのコストが劇的に下がることで、情報がより蓄積し、進化はどのようにして生じるのかなど大変興味深い事柄について明らかになるだろうと語られ、大学院生達にとっては、分子生物学の俯瞰的な展望や研究者としての深い見識に触れ、大きな刺激を受ける大変素晴らしい機会となった。