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国際事業部人物交流課
外国人著名研究者招へい担当
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Dudley Robert Herschbach
滞在中の日程
受入実施の状況とその成果
招へい研究者の受入機関に対する寄与 大阪大学は、かつて国立大学であったものが法人化され現在に至っている総合大学の代表的な一例であると考えてよい。このように大学が法人化されて以降、一般的に見られる傾向で、とりわけ自然科学分野の研究教育に限ってとくに顕著に現れている現象を取り上げると、それは大学の研究教育活動の評価において、きわめて短期間で社会に対して目に見える形で実効的な成果が問われるようになったことである。すなわちかつて大学に対して期待された人材育成や新たな価値観の創成ではなく、物質とそれに関する技術の社会貢献が重要視される、いわゆる「応用があっての科学の意義」であるという事実にある。大学における人材育成においても、今日では卒業生が企業や社会にとっていかに即戦力として寄与できるのかという点に重きが置かれる。換言すれば、物質面から見た科学の成果がすなわち社会への貢献であるとの考え方である。今回の招へいでハーシュバッハ教授が行った3つの講演を通しての最大のメッセージは、現在の政府施策により押し進められている、このような科学の実益的なとらえ方や風潮に対するアンチテーゼではないかと強く感じた。 ハーシュバッハ教授のメッセージとは、我々自然科学者、教育者は今こそ原点の考えにもどり本来の科学すなわち「好奇心に裏付けされた科学(curiosity-driven science)」を考えなければならないということではないか。それはちょうど芸術が人類の精神的側面を豊かにするのと同様に科学は人類普遍の精神性の高揚を第一義的な目的としなければならないということである。このことは時として、「文化としての科学」というとらえ方をされる場合があるが、ハーシュバッハ教授のメッセージはもっと根元的なものではないか。とりわけ大学は「好奇心に裏付けされた科学」を行うべき使命があるのではないかとの強い印象を持った。このような観点から、今回の招へいでハーシュバッハ教授の講演が受入機関においては理学研究科で行われた意義は大きい。また将来の若手研究者である高校においても講演を行ったことも貴重な一例ではないかと考えている。言うまでもなく、科学活動そのものが、人種、国境の壁に無関係であり、まさに大学の国際化に通じることもハーシュバッハ教授滞在中に何度も議論されたことである。 以上のことから招へい研究者受入機関に対する寄与はきわめて大きく、大学生、院生を含む若手研究者へまたとない刺激となったのではないかと考えている。
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