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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Dr. Serge Daan

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成21年  
7月24日 9:35 関西空港着
午後:大阪大学理学研究科に萩原教授研究室を訪問する。
さらに東島理学研究科長、今野教授、小川教授、広津教授、萩原教授と会談し、学術振興会の支援をうけた若手研究者支援プログラム、グローニンゲン大学における大阪大学フロンティアラボにおける研究と教育、ヨーロッパと日本の複数大学が関与する先進国教育交流支援プログラムの3つのプログラムの進め方について協議を行った。また、衛星システムを用いたグローニンゲン大学との共通講義に参加した。
7月25日 大阪大学理学研究科萩原教授の案内のもと、奈良郊外の自然を視察。
7月26日 奈良佐保短期大学大石学長(奈良女子大名誉教授)の来訪を受け、奈良佐保短期大学を訪問後、大石学長と共に奈良女子大学を訪問し、理学部生物科学科の保 智己 准教授の研究室にて、ヤツメウナギ測定システムを見学し、眼球外光受容について討議した。
7月27日 午前:京都大学薬学研究科講堂にて「地球の周期的変動と生命」と題して学生・大学院生および若手研究者に講義を行う。
引き続き、薬学研究科岡村教授の研究室を訪問し、学生・院生と親しく討論し、動物の実験室内とフィールドでの行動の差異などについて示唆を与えた。
午後:医学研究科若村准教授の研究室にて、学生の研究発表を聞き、ヒト睡眠および体温リズム解析とその解釈について指導を行った。
7月28日 午前:京都国際会議場にてIUPS2009に参加。
午後:京都大学理学研究科の清水名誉教授の私設研究室を訪問し、ミツバチの行動計測システムを見学、データについて討議した。
7月29日 終日IUPS2009(第36回国際生理学会世界大会)の終日シンポジウムにおける講演準備を行う。
7月30日 京都国際会館にてIUPS2009 終日シンポジウム「生理機能と行動の時間的統合機構」に参加。「概日時計の光周期同調:日の出と日没の役割」と題して講演を行った。また、午後のセッションの座長を務めると共に、終日討論にて、示唆に富んだコメントを加えた。
夜は、シンポジスト全員と夕食を共にしながら、研究環境やリズム研究の将来展望について語り合った。
7月31日 終日8月1日~4日札幌にて開催される国際会議の特別講演の準備を行う。
夜:IUPS2009の懇親会に出席。
8月1日 京都—札幌の移動。
午前の便で札幌に移動する予定であったが、関空特急はるか号の信号のトラブルに遭遇し、急遽、午後の関空—札幌便に変更。このため、午後の「光生物学に関するシンポジウム」には参加できず、19時からの記念講演会から会議に出席する。
8月2日 終日、北海道大学学術交流会館にて開催された「生物リズムに関する国際シンポジウム 札幌2009」に出席。
9:00-10:00 特別講演「昼行性と夜行性の柔軟な変化」の講演を行う。
夜は、ポスター会場にて、若手研究者のポスター発表に参加し、個別に指導を行った。
8月3日 9:00より18:30まで「生物リズムに関する国際シンポジウム 札幌2009」に出席、討議に参加。
10:00-11:00 北海道大学医学研究科に安田研究科長を訪ね、グローニンゲン大学と北海道大学の国際協力について話し合いを行った。また、生理学講座本間研一教授の研究室を訪問した。
夜は懇親会で国内外の研究者と親睦を深めた。
8月4日 9:00より10:30までシンポジウムに参加し、その後、札幌を発って千歳空港より関空へ移動。さらに、淡路夢舞台国際会議場に移動し、すでに8月3日より開催中の「Journalof Experimental Biology シンポジウム2009、変遷する地球環境における生存」に参加。
8月5日 Journal of Experimental Biologyシンポジウムに参加し、シンポジウム”Animal resilience and adaptation in coping with changes” (環境変化に対応した動物の柔軟性と適応)にて、Plasticity in behavioral timing(動物の行動時間選択の可塑性)について講演を行う。
終日会議に出席し、討議に加わると共に、特に国内の若手研究者に対し個別に指導を行う。
8月6日 関西空港よりKLM機にて帰国の途につく。

受入実施の状況とその成果

本年度、Daan教授は7月24日に来日し、8月6日に離日するまでの14日間の滞在期間中、3つの連続する国際会議に出席、特別講演やシンポジウム講演を行うだけでなく、特にIUPSの会議では座長としてシンポジウムをもり立てた。さらに討論者としては、長い研究経験と、フィールド研究から数理モデルまで幅広い専門的知識と深い洞察力で、重要な質問や示唆に富んだコメントを発して会議貢献すると共に、参加者に多く知識を伝え、感銘を与えた。また、大阪大学および北海道大学においては、グローニンゲン大学・学部長として、大学間の教育・研究における国際協力について、具体的な話し合いを行った。本年度は、国際会議の合間をぬって、大阪大学、京都大学、奈良佐保短期大学、奈良女子大学、北海道大学の5つの大学を訪問し、若手研究者や院生・学部学生の指導に当たった。さらに、名誉教授として積極的に研究を続けている2名の旧友を訪ね、リズム研究の将来や、後輩の指導について、示唆を与えた。

1)国際会議における成果:
 京都におけるIUPS2009(第36回国際生理学会世界大会)では、7月31日の終日シンポジウムにシンポジストとして参加し、大会場を埋める聴衆に、環境の明暗周期と概日リズムについて、特に、点灯・消灯のシグナルと連続した光照射との差異に関する最近の詳細な研究成果について講演を行い、感銘を与えた。また午後の1セッションの座長を務め、会議の進行役を務めると共に積極的なアドバイスを行った。
 札幌での「生物リズムに関する国際シンポジウム 札幌2009」では、リズム研究におけるトップレベルの研究者が一同に会し、4日間、極めて質の高い討議が行われ、Daan教授の講演と指導は、参加した若手研究者や院生には大きな影響を与えた。さらに、Daan教授は若手のポスター発表者を個別に丁寧に指導し、国際生物学賞受賞者からの直接のアドバイスは、若手が今後研究を続ける上での大きな励みとなった。特に、振動理論に基づいた仮説の立て方の重要性は、最近の若手の研究に欠けたところであり、今後の国内におけるリズム研究者の養成に大きく貢献した。
 淡路夢舞台国際会議場におけるJournal of ExperimentalBiology シンポジウム「環境変化に対応した動物の柔軟性と適応」に参加し講演を行った。シンポジウムは、特に、様々な領域の生物学者が加速する地球環境の変動に危機感を共有し、何を提言できるかを探る重要なシンポジウムであり、Daan博士の豊富な野生生物のフィールドワーク研究や遺伝子改変動物の自然界での研究成果を踏まえたアドバイスは、シンポジウムの成功に大きく役立ち、国内からの若手研究者に刺激を与えた。

2)大学間国際交流における成果
 大阪大学では、グローニンゲン大学との長い協力の歴史をもち、特に2005年の大阪大学グローニンゲンセンター開設以来、人の交流だけでなく、衛星を用いた講義を行うなど、積極的な研究・教育協力を推進している。今回は、理学研究科において、東島理学研究科長、今野、小川、広津、萩原教授が参加して、阪大―グローニンゲンセンターや国際交流推進本部で進めている学生の交換プログラム推進、教育基金への共同応募などについて検討し、さらにTV講義に参加した。
 北海道大学との交流は、昨年のDaan教授の北大訪問をきっかけとして提案され、昨年秋には、本堂理事・副学長、本間医学研究科長、吉岡副医学研究科長のグローニンゲン大学訪問により、両大学において具体案を検討するまでに進展した経緯がある。本年度は、多忙なスケジュールを縫って、安田医学研究科長を訪ね、両研究科での国際研究・教育協力を約束した。

3)大学訪問と学生指導・研究協力
 本年度は、大阪大学医学研究科・荻原哲教授、京都大学薬学研究科・岡村均教授の研究室、京都大学医学研究科・若村智子准教授の研究室、奈良佐保短期大学・大石教授研究室、奈良女子大学理学部生物科学科・保准教授の研究室、北海道大学医学研究科・本間研一教授の研究室を訪れ、院生や若手研究者の研究成果を聞き、個別に指導を与える機会をもった。Daan教授は、学生の英語での発表、討論に適切なアドバイスを与え、彼らに自信を与えると共に、国際的な研究者を目指す夢を与えた。
 過去20年の間に何度も日本を訪問しているDaan博士は、全国に友人を多数もつが、長年の研究を通じての友人の何人かは既に定年を迎え、大学を去っている。今回その内の2名の名誉教授、大石奈良女子大学名誉教授と清水京都大学名誉教授と親しく会談する機会を得た。特に、私設研究所や後継者との共同研究で、自然界での行動観察や小動物研究など、多大な研究費とマンパワーで行う研究とは異なる、多くの研究者が取り残した課題を小規模でも着実にこなしている両名誉教授との会談は、科学者が如何にして生涯にわたり社会に貢献するかを示す結果ともなった。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

Daan博士は、北海道大学学術交流会館において開催された生物リズムに関する国際シンポジウムにおいて特別講演を行い、夜行性動物がフィールドにおいては、しばしば昼行性となることから、行動の夜行性・昼行性は、餌が豊富で捕食者のいない実験室環境では、固定したものであるが、動物は自然界では、餌・捕食者・自然環境(環境温や天候など)に応じ柔軟に活動時間帯を変更することを詳細なデータから示し、実験室におけるデータがすべてではないこと、研究には、常に洞察力と観察力が必要であることを示して大学院生や若手研究者に大きな刺激を与えた。北大におけるシンポジウムは、一会場での会議であり、参加者が個別に話し合う機会を持ちやすいため、また、北海道大学医学研究科とグローニンゲン大学との国際交流を進める方針を確認し、双方で具体的な計画を立てていくことを双方の学部長レベルで約束することにより、国際化に大きく貢献した。

その他

昨年度に引き続きDaan教授の招聘が可能となり、多大な支援をいただいた日本学術振興会に、Daan教授共々、深謝いたします。毎年行われる様々な会議への著名研究者の招聘は、旅費・滞在費の捻出に苦労し、本務である教育・研究以外に多大な時間と労力の負担となっている。本プログラムは単年度ではなく、連続して著名研究者の招聘支援を可能としており、ビジネスクラスでの招待で、交通費やホテル代に悩まされることなくDaan教授には十分に力を発揮していただくことが可能であった。