お問い合わせ先

国際事業部人物交流課
外国人著名研究者招へい担当
TEL03-3263-3443
FAX03-3263-1854

外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Gilbert Stork

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成17年  
9月30日 成田着、本学宿泊施設に宿泊開始
10月3日  
~10月5日 東京工業大学 大学院生と研究討議
10月5日 東京工業大学 講義(1)
10月6日 徳島出張(天然有機化合物討論会参加 10月7日~10月9日)
~10月10日  
10月8日 講演(天然有機化合物討論会)
10月11日  
~10月14日 東京工業大学 大学院生と研究討議
10月12日 東京工業大学 講義(2)
10月14日 東京工業大学 講義(3)
10月15日 東京工業大学 ストーク シンポジウム開催
10月17日 東京工業大学 大学院生及び助手・助教授と研究討議
~10月19日 理化学研究所研究員及び博士研究員参加(10月19日)
10月19日 東京工業大学 講義(4)
10月20日 北里研究所(王子) 向山教授訪問、研究員との討議
10月24日  
~10月26日 東京工業大学 大学院生及び助教授と研究討議
10月26日 東京工業大学 講義(5)
10月27日 東京工業大学相沢学長訪問、日本学術振興会小野理事訪問
10月28日 東京工業大学 講義(6)
10月31日 東京工業大学 大学院生及び助教授と研究討議
11月1日 東京大学中村教授訪問、講演および中村教授との研究討議
11月2日 東京工業大学 講義(7)
11月4日 東京工業大学 大学院生及び助手と研究討議
11月7日 東京工業大学 大学院生及び助手と研究討議
11月9日 離日

受入実施の状況とその成果

 宿泊施設として本学がノーベル賞クラスの研究者のために用意している大岡山キャンパスにある80周年記念外国人特別宿泊施設を利用して頂いた。2寝室、ワンフロアーのリビング・ダイニングルームと台所、ユニットタイプの洗面所とバスルームおよびベランダが2カ所ある宿泊施設である。設備は執務机、大型の衛星放送受信付きテレビやインターネット、国際電話があり、自炊用の台所用品も完備している。宿泊当日から生活に支障ないように整えてある。また、周辺は商店街やスーパーも充実しているので、買い物にも便利である。滞在中、生活面においては静かな環境の中、非常に快適な生活を送って頂くことができたと考えている。なお、アメリカのコロンビア大学とのやりとりもインターネットを通じて行うことができたので、長期滞在による情報伝達の不便さはほとんどなかったとの事である。この施設はキャンパス内にあるので、受け入れ研究者側の用意した執務室、講義室への移動も10分程度ですみ、その分、充分な時間をディスカッションに当てることができた。

 研究のために執務室を大岡山キャンパス本館一階の一室に設け、机、テーブル、椅子、ホワイトボード、電話、暖房設備などを準備した。日程表にあるように、学生、教員との研究討議は頻繁に行われたので、この目的でホワイトボードは非常に役立った。ストーク先生がホワイトボードを使って解説することもたびたびで、学生が分りにくいところも構造式を書いて丁寧に説明をして頂いた。

 講義のために通常の講義室ではなく、横広の会議室(大岡山本館第一会議室)を準備し、横いっぱいに黒板を設置した。講義はチョークトーク形式で、構造式を書きながらどこが重要かを十分な時間を与えながら説明をして頂いたので、学生の理解に役立った。講演形式ではなく、7回におよぶ講義で有機合成の重要なポイントを様々な角度から教授して頂いたことにより、受講した大学院生達は多面的な見方ができるようになったと考える。単発的な来訪では決して得られない成果を得た。

 また、ストーク先生の来日を期に今回、ストークシンポジウムを本学で開催した。学内(3研究科3専攻)から助手4名および助教授1名、学外(東大、東京薬科大,東京理科大,理研)から4名の若手研究者を招へいし、ストーク先生の前で若手研究者が最近の研究成果を発表する機会をシンポジウム形式で行った。出席者は学外者30名を含む120名を数え、学内外に向けて若手研究者が大きく自分の研究をアピールする場を設けることができた。会場における活発な議論に加え、ストーク先生からもコメントを頂戴し、ストークシンポジウムは大成功を収めた。

 今回、著名研究者を本学に招へいできたことを相澤益男学長に報告を兼ね、表敬訪問をして頂いた。予定していた時間を超える懇談となり、ストーク先生から本学における受け入れへの謝意があった。

 本学だけでなく、10月に日本化学会、日本薬学会、日本農芸化学会他共催で徳島市にて開催された「第47回天然有機化合物討論会」に参加して頂いた。このシンポジウムで「カチオン環化の50年」と題し、これまでの研究された歴史について講演して頂いたことは日本におけるこの分野の研究者1000名に向けての大きなメッセージとなった。同じく、本学以外での活動として東京大学大学院理学研究科で講演をおこなっていただくとともに、同大学薬学研究科の教員も交え、研究ディスカッションをおこなって頂いた。いずれも、本学に限らず、著名研究者であるストーク先生に直接、接する機会を日本の多くの研究者が共有でき、招へいの効果は大きかった。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

  • 大学院講義(7回)
  • 大学院生とのディスカッション
  • 若手研究者とのディスカッション
  • ストークシンポジウム

 今回、ストーク先生を招へいするにあたって、本学では上記の内容を主に招へい計画をたてた。 これは大学院生が著名研究者であるストーク先生に直に接し、講義を受け、英語でのディスカッションを通じて訓練をされるということと化学系に所属する20代から40代前半の若手研究者に研究者としての方向性を示すということを意図したからである。

 ストーク教授には東京工業大学において合計7回にわたり,大学院の講義を英語で行って頂いた。複雑な構造を有する化合物をどのようにして組み立てるかについて,数多くの天然物の合成においてどのようなアプローチによる合成法があるか,その合成を達成するためにどのような合成反応が開発されてきたかについて,その歴史とともに合成法の意義を語って頂いた。中堅・若手研究者および大学院生にとって,立体選択的な合成反応についてこれまでどのようなアプローチが行われ,立体選択的な合成法が確立されてきたのかについて,教科書には載っていない,研究意義を歴史の流れとともに学ぶことができた貴重な時間であった。有機合成化学の本質的な問題点を指摘し,それに向かって研究を進めるという有機合成の魅力や思考のおもしろさについて大きな刺激を得ることができた。知識習得、ならびに経緯、今後の研究における研究意義を熟考するための大きな活性化に寄与した。
 これらの講義に加えて、化学系に所属する大学院生一人一人と本人達の研究について、ディスカッションをおこなって頂いた。一人、20分から一時間以上にも渡ることがあり、学生のエンカレッジに大いに寄与して頂いた。また、英語のディスカッションの経験を日本ではなかなかすることができないが、今回の経験を通して、彼らは大きな自信をつけたことが見てとれた。すぐれた教師で研究者であるストーク先生ならではの教育活動をして頂いた。

 助手、助教授の教員からなる若手研究者とのディスカッションは、一人あたり1時間にわたり討議を行い,熱心に研究に取り組んでいる姿勢を高く評価して頂いた。ストーク先生ご自身の研究に取り組む姿勢、研究背景を詳細に述べながら、研究について議論することで、本学若手研究者に将来の研究に向けた新たな発想を促すものとなった。

 ストークシンポジウムは本学が力をいれ開催した。発表者は英語で研究発表をおこなった。若手研究者にとっては今回の研究発表はストーク先生の前での発表ということも含め、緊張を強いられるものであったが、それだけに自分の研究をアピールする絶好の機会であった。結果、シンポジウムでは活発な議論が有り、ストーク先生からのコメントも頂き大変盛況裏に終了することができた。

 以上,ストーク先生の招へいを通じ,多くの大学院生,若手研究者が英語での研究議論を行い,また歴史的な研究背景を学ぶことができ,非常に有意義であった。世界に向けた研究発信のための最高の教育の場を得たと実感している。

 この貴重な機会をお与え頂いた貴日本学術振興会に感謝致します。