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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Jean-Marie Lehn

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成17年  
10月2日 来日(成田空港)
10月2-4日 東京大学21世紀COEプログラム“3rd International Symposium on -Frontier of Nanochemisty and Nanomaterials-”に出席、講演
10月4日 三井化学研究所にて研究討議
10月5-6日 京都大学「超分子化学および材料の最近の進歩に関するセミナー」に出席、講演
10月6-8日 九州大学名誉博士号授与式
九州大学21世紀COEプログラム“Prof. Jean-Marie Lehn SymposiumⅡ”に出席、講演
九州大学工学研究院応用化学部門での21世紀COEプロジェクトの研究室との個別討論
10月9日 離日(関西空港)

受入実施の状況とその成果

 本年度は、超分子化学の創始者である、ジャンマリー・レーン教授招聘事業の最終年度であることから、平成15年度に開催し成功を博した、第1回ジャンマリー・レーンシンポジウムのスタイルを踏襲した、第2回目となるレーンシンポジウムを企画した。シンポジウムに先立ち、これまでのレーン教授の九州大学への貢献に感謝の意を示し、九州大学の名誉博士号が授与された。
 シンポジウムは、レーン教授の招聘期間内に合わせ、21世紀COEプロジェクト:分子情報科学の機能イノベーション(代表:新海征治教授)主催の国際シンポジウム(平成17年10月7日-8日)とし、レーン教授には本シンポジウムでの特別講演を依頼し、あらためて、これまでの研究業績、研究思想、超分子化学分野に対する将来展望などについて語っていただいた。本シンポジウムでは、レーン教授の他に、他大学から招待講演者として、櫻井和朗教授(北九州大学)、森口勇教授(長崎大学)、伊原博隆教授(熊本大学)をお招きした。また、九州大学21世紀COEプログラム(分子情報科学)のメンバーからは9件の講演(新海征治教授、北川宏教授、吉澤一成教授、山田淳教授、久枝良雄教授、丸山厚教授、堀田善治教授、松田建児助教授、大塚英幸助教授)が行われた。それぞれの講演では、種々の方向からの超分子化学へのアプローチが紹介され、200名以上に上るシンポジウムの参加者を魅了した。また、その各講演後に熱心に繰り広げられた質疑応答は、個々の研究者の切り口や当該分野の進捗状況を把握する上で、またとない機会となり、参加した大学院生や若手研究者へ大変良い刺激を与えた。
 シンポジウム終了後に行われた、レーン教授と21世紀COEプロジェクトの主要メンバーとの個別ディスカッションでは、より緊密な学術情報交換を行うことができ、九州大学における超分子化学分野およびナノテクノロジー・ナノケミストリー研究に対する的確な評価、提案を受けた。
 また、本学を訪問する前にも、東京大学、三井化学研究所、京都大学を訪問し、精力的に各地の研究者と討論を行った。まず、東京大学では、東京大学21世紀COEプログラムの"3rd International Symposium on -Frontier of Nanochemisty and Nanomaterials-"に出席し、約300名程度の聴衆の前で、"From Supramolecular Chemistry to Constitutional Dynamic Chemistry"というタイトルで講演を行い、シンポジウムに参加した国内外の研究者と多くの質疑応答を熱心に行った。次に三井化学研究所では、関連研究室のスタッフと多孔質自己組織化金属錯体材料、ケミカルバイオロジー、超分子ナノバイオ材料などに関する研究討議を行った。さらに、京都大学では、「超分子化学および材料の最近の進歩に関するセミナー」にて講演を行い、参加した研究者とインフォーマルDiscussion、情報交換を行った。
 少しでも、時間があれば、いつ、どこでも、議論することを楽しむLehn教授の人柄は実に魅力的で、短い滞在期間であったが、大変充実した時を過ごすことができたと感じている。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

 今回も前回同様、来日時に合わせて、ジャンマリー・レーン国際シンポジウムを開催し、2日間集中的に超分子化学の研究発表、討論を行った。レーン教授は、2次元、3次元と金属配位を利用して、あたかもプログラミングされているかのように分子を組み上げて行く、超分子構造体構築の手法を自身の研究例をあげながら説明し、超分子化学のもつ可能性、将来性に関して、壮大なビジョンを示しながら講演を行った。これは、九州大学21世紀COEプロジェクトが現在めざしている、一つ一つの分子に情報を担わせ、それをもとに、複雑な構造や機能を構築しようという研究の方向に指針を与えるものであり、本講演の内容は参加した多くの若手研究者に強い刺激と感銘を与えるものであった。
 また、昼食時間を割いてまで、レーン教授は九州大学21世紀COEプロジェクトの主要メンバーと個別ディスカッションを精力的に行い、それぞれの研究が抱えている問題点などに対して、より具体的かつ的確な研究提案を与える一方で、九州大学における超分子化学をはじめとする化学・材料系の世界レベルでの活発な研究活動に対して高い評価を下した。特に、本事業が契機になって開始された、大学院生や博士研究員がレーン研究室に長期滞在し研究を行うという交流活動が、双方にとって実りある結果をもたらしており、レーン教授が九州大学と在籍するストラスブール大学との連携を、今後も継続されることを強く希望されたことは、本事業のかけがえのない成果の一つであり、若手研究者の目を海外へと導く格好の機会となったことは論を待たない。