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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Martin D. Kruskal

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成16年
12月28日
日本着
 以降離日まで東京大学大学院数理科学研究科において、微分方程式や差分方程式の特異性解析及び一般的な数の理論について研究討論を行った。討論に参加したのは薩摩以外に岡本和夫教授、時弘哲治教授、ウィロックス・ラルフ助教授およびそれぞれの研究室に所属している大学院生達である。
 こうした研究活動以外に以下の講演を行った。
平成17年
1月14日
 数理科学研究科棟大講義室における公開講演会。
 題目: Surreal numbers - a new number system for the new millenium
 新しい数の体系についての講演であり、大学内外から数十名の聴衆が参加した。
平成17年
1月19日
 東京大学教養学部理科Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類1年生2年生対象の特別講義。
 題目:数理・情報一般「数学の現在・過去・未来」
 100名近くの学生が出席し、数学ひいては科学一般に対する考え方を学んだ。
平成17年
2月14日
 COE国際会議 "Nonlinear integrable systems and their real world applicatios"における招待講演。
 題目:Surreal numbers are THE numbers
 超越数の重要性を訴える講演であり、外国からの20数名を含む総数80名の参加者に深い感銘を与えた。
   東京大学大学院数理科学研究科以外に以下の2カ所を訪問し、それぞれ微分方程式や差分方程式の特異性解析及び一般的な数の理論について研究討論を行うとともに、講演を行った。
平成17年
1月23日
~1月26日
 京都大学大学院情報学研究科。
 1月24日に第77回 関西可積分系セミナーで「Early Days of Solitons」という題目でソリトン発見の歴史的な事柄を中心に講演を行う。約30名の聴衆が参加した。
平成17年
3月9日
~3月12日
 九州大学応用力学研究所。
 3月10日に特別公開講演会が開催され、「The dawn of soliton study(ソリトン研究の幕開け)」という題目の講演を行った。
平成17年
3月27日
離日
 

 

受入実施の状況とその成果

 クラスカル教授を招へいするにあたり、東京大学大学院数理科学研究科では研究科長の薩摩順吉をはじめ、岡本和夫教授、時弘哲治教授、ウィロックス・ラルフ助教授らが数回準備的会合を持った。到着以降は、数理科学研究科棟の教授研究室を居室として提供するとともに、宿舎として研究科棟から徒歩圏にある東急ステイ渋谷を用意した。クラスカル教授は、現在世界中で活発に研究が行われている無限可積分系理論の権威者であると同時に、微分方程式や差分方程式の特異性解析及び一般的な数の理論について新しい方向の研究を行っておられる。そこで、主に上記教員の研究室に所属する大学院生らの若手研究者を対象として研究討論を行っていただいた。その結果、若手研究者は新しい研究方向に関する知見を獲得しただけでなく、彼らが行っている研究に対する適切な助言を得ることができた。
 また、クラスカル教授の研究に対する考え方を学ぶために、東京大学大学院数理科学研究科主催の公開講演会を開催した。この講演においては、「新しい数の体系」に関する内容がやさしく説明され、参加した大学内外の研究者、学生に研究教育上のの刺激を与えることができたと考えられる。さらに、前期課程の学生を対象とした特別講義を開催した。この講義では「数学の現在・過去・未来」というタイトルで、数学ひいては科学一般に対する考え方を話していただき、参加した100名近くの学生に勉学に対する動機付けを与えることができた。
 クラスカル教授の滞在にあわせて開かれたCOE国際会議 "Nonlinear integrable systems and their real world applicatios"では超越数の重要性を訴える招待講演をしていただくだけでなく、会議全体にわたって主要な助言者になってもらい、会議の成功に大きく貢献していただいた。
 以上は東京大学における具体的な活動であるが、それ以外に京都大学、九州大学を訪問し講演をしていただいた。この訪問については、ウィロックス・ラルフ助教授に同行をお願いし、無事予定通りに旅行を終えることができた。京都大学、九州大学ともに、ソリトン発見の歴史的な事柄を中心に講演をしていただき、参加した研究者、学生に深い感銘を与えることができた。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

 東京大学では無限可積分系理論研究が活発に行われており、その第一人者であるクラスカル教授の滞在はとくに若手研究者に少なからず刺激を与えた。また、同教授の研究討論などにおける発言は、無限可積分系理論の世界における一大拠点となることを目指している大学院数理科学研究科にとって、今後の研究を活性化するのにきわめて役立ったと考えられる。また、同教授の新しい研究方向に関する講演は、今後の新分野開拓にとっても大いに役立つものであった。
 学生に与えた影響も大きい。前期課程から大学院まで講演会や研究討論でクラスカル教授と接した何人もの学生は、同教授の気さくかつ真剣な態度に感銘を受けたといっており、同教授の滞在は教育上有意義であったと判断できる。
 大学院数理科学研究科は21世紀COEプログラム研究拠点の一つに選ばれ、とくに科学技術を支える数学の役割の検討について実績を上げることを目指している。クラスカル教授の滞在にあわせて開催したCOE国際会議では多数の応用研究が報告され、その一つ一つに同教授が与えた助言はきわめて有益であり、プログラム遂行に大きく貢献したと考えられる。なお、この国際会議は、参加した多くの研究者から、最近にない内容の充実したものであるとの高い評価を得たが、クラスカル教授の会議への参加はそうした評価を得る一つの要因になっている。