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国際事業部人物交流課
外国人著名研究者招へい担当
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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Peter Agre

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
2005年1月10日
11:15

ワシントンDC発(NH001便)
2005年1月11日
15:25

成田着

新潟着
2005年1月12日
訪問先 : 新潟大学脳研究所附属統合脳機能研究センター
訪問内容: ヒト脳で直接検索の可能な脳特異的アクアポリン(AQP-4)の特性を分子レベルで追求するための研究打合せと、 Agre氏の研究室をmain laboratoryとしたサテライト研究室の立ち上げ状況の確認等を行った。
2005年1月16日
11:10

新潟発
成田発 (NH002便)
2005年1月16日
9:40

ワシントンDC着

受入実施の状況とその成果

 本事業はこれまでの「研究者交流」、「共同研究」の枠を大きく越えた、「研究室の融合」を目指した事業である。その主軸となるものは、中田が中核的研究拠点形成プログラムの中で構築を進めて来た、Virtual Laboratory環境である。これは、高速internetを利用して、共同研究を行う研究者が、実際にはどの研究室に居ようとも、共同研究を行っている研究者同士でreal timeにdataを共有し、日常のdiscussionを行うことを可能とする環境のことである。
 Agre研究室と中田研究室の融合は、Agre研究室のサテライト研究室を統合脳機能センター内に作ることと、virtual環境を利用した、日常のcommunicationを通して行われる。言い換えれば、従来、数ヶ月に渡っての滞在が必須であった、本格的な共同研究を、virtual環境を維持することにより、サテライト研究室を、あたかも、AgreのBaltimoreにあるoriginal研究室に隣接した研究室であるかのように運営し、実践してしまおうという計画である。
 それでもなお、virutal 環境による統合には、「実経験」も必須であり、そのためには、何度か、Agreが自分のサテライト研究室に滞在する必要がある。一年に一度、研究室の主催者が、実際にそれぞれの場所にphysicalに訪問して、全体像を把握し、研究指導、共同研究に関して、お互いの理解の微調整を図っておくのである。ただし、その期間は長い必要はない。Agreの招へいは、この「微調整」ともいえる作業を、主な目的としている。
 本年度は、1月10日~16日までの7日間、統合脳機能研究センターに滞在し、サテライト研究室での進行状況を確認し、研究員の直接的な指導に当り、日本側研究生の承認を行った。同時に、中田研究室において、ヒトを直接対象とした、7T装置によるMRIを体験しながら、MR microscopyに関する、直接的な知識を獲得した。1月12日には、Agreの訪問に合わせて開催された脳研究所の主任教授が一堂に会する研究会議に(サテライト研究室の準備・運営に関わった)Dr. Yasui、Dr. Neelyと共に参加した。この会議で、今後のヒトでの研究に関する統合的な方向付けを検討した。

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

 新潟大学統合脳機能研究センターは、現在、磁気共鳴画像を用いた脳機能解析において、世界をリードする技術と経験を有している。物理学から医学まで、磁気共鳴に関する学際的知識を1つの研究室で獲得できる、国際的にも極めて稀な研究室である。この共同研究の基本的なゴールは、ヒト脳で直接検索の可能な脳特異的アクアポリン(AQP-4)の特性を分子レベルで追求することにある。具体的には、機能画像に展開可能なAQP-4特異的ligantの開発、機能検索に可能なmonoclonal antibodyの開発、機能画像で検索の可能な、AQP-4に特異的な水分子の動態検索などである。また、ヒト7T装置を用いての生体顕微鏡(MR microscopy)開発が進んでいる。分子レベル、ラットレベルでのAQP-4にtargetを絞った検索の成果は直接的にヒトでの検索に結びつくの予定である。
 AQP-4の脳機能に関する分子レベル研究は、Agreの研究室(main laboratory)と新潟大学内のサテライト研究室をvirtual環境により、real timeの融合させ、行っている。動物、ヒトの両面からapproachするAQP-4の機能解析は、このサテライト研究室が橋渡しの役割を果たす。このサテライト研究室は、2004年末までに、スペースの確保、装置の設置が完了し、Agreの研究室からDr. YasuiおよびDr. Neeleyを招き、実際の共同研究を開始している。既に、AQP-4のmonoclonal antibodyの開発をほぼ完了している。今回のAgreの滞在は、AQP-4の特性の分子レベルでの研究の加速、および脳研究所の更なる国際化に大きく寄与したと確信する。

その他

 新潟大学統合脳機能研究センターは、2004年末に採択された文部科学省連携融合事業「水分子の脳科学」を2005年4月から開始する。この事業採択に際し、本招聘事業が少なからず貢献していると思われる。