お問い合わせ先

国際事業部人物交流課
外国人著名研究者招へい担当
TEL03-3263-3443
FAX03-3263-1854

外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

増井禎夫

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成16年  
9月6日 来日
9月8,9日 日本動物学会第75回大会に向けて,学生の発表準備の助言と指導
場所:甲南大学(15-401室,B504室,103室)
9月10-12日 日本動物学会第75回大会シンポジウム「日本動物学会125周年を迎えて」にて講演
タイトル:カエルの卵と歩んだ50年
会場:甲南大学
9月13-17日 共同研究「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」に関する成果報告と今後の研究方針の打ち合わせ
場所:甲南大学(B504室,103室)
9月20日 生物学科セミナー
タイトル:私の研究から見た発生生物学の発展
場所:甲南大学(共同研究室)
9月21,22日 研究打ち合わせ
訪問者:岩尾教授(山口大学理学部)
場所:甲南大学(15-401室)
9月25日 離日


受入実施の状況とその成果
(1)学術交流
 日本動物学会第75回大会(9月10日-12日,神戸市・甲南大学)に出席し,シンポジウム「日本動物学会125周年を迎えて」にて,「カエルの卵と歩んだ50年」と題して講演を行った.1955年に甲南大学で研究生活を開始し,エール大学とトロント大学での研究の経過,特に当時の学界の時代背景と科学技術の進歩との関連性について講演した.400名以上の聴衆であった.9月20日の生物学科セミナーにおいて,「私の研究から見た発生生物学の発展」と題して講演した.甲南大学在職中に増井先生の研究に大きな影響を与えた研究者や,甲南大学の生物学科の伝統と歴史的背景などを紹介しながら,半世紀にわたる研究体験と発生生物学の進歩についての個人的見解を熱く語った.講演の後,社会現象の一つとして最近話題となっている「理科ばなれ」や「科学教育」について討論した.参加者は約70名であった.9月21,22日に山口大学理学部岩尾教授が訪問し,両生類の卵成熟や初期胚発生に関して共同研究の打ち合わせを行った.

(2)共同研究
 「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」に関して共同研究を行った.オオミジンコの雄産生を誘導するmethyl farnesoate (MF)が実際にミジンコ体内で合成されているかどうか知るために,MF生合成の最終段階であるメチル化反応の有無を①farnesoic acid のメチル化を[methyl-3H]methionineのメチル基の転移反応と,②上記反応を触媒する酵素farnesoic acid O-methyltransferaseのmRNAの検索という観点から検討した.その結果,オオミジンコの体内でMFが合成されているという証拠は得られなかった.さらに,MF処理によって休眠卵は誘導されないことも明らかとなった.これらの結果は,MFは単為生殖から両性生殖への転換へは関与していいことを示しており,MFによる雄産生は生体内の生理作用とは別の経路(例えば,アーティファクト)によって誘導されものと解釈された.これらの成果は,日本動物学会第75回大会のシンポジウム「動物の性決定及び性分化機構-性決定の進化を探る-」にて「オオミジンコの性決定と生殖様式の変換」と題して発表された
招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

①   日本動物学会75回大会や生物学科セミナーでの若手研究者や学生などとの交流を通し,甲南大学・生物学科の輩出した生物学者などを積極的にアピールしていただいた.まもなく生物学科創立50周年を迎える生物学科の歴史や伝統を初めて聞く学生も多く,新鮮な話題であった.
②   日本動物学会に向けて,発表予定の学生(4名)これまでの研究の進捗状況を説明し,得られたデータの評価を受けると同時に,データ整理や発表について助言を受けた.また,学会後は,今後の共同研究の進め方について具体的に打ち合わせを行った.
③   作成中の論文“The role of methyl farnesoate in reproduction and sex determination of the water flea, Daphnia magna”及び“The release of ecdysteroid-phosphates from egg yolk granules and its dephosphorylation during early embryonic development in the silkworm Bombyx mori”について,英文の添削と指導をお願いした.