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外国人著名研究者招へい担当
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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

増井禎夫

滞在中の日程
年 月 日 訪問先名称・訪問内容
平成15年  
9月6日 来日
9月8-10日 共同研究「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」に関する成果報告と今後の研究方針の打ち合わせ
 場所:甲南大学(B504室,103室)
9月10-13日 日本動物学会第74回大会に向けて,学生の発表準備の助言と指導
 場所:甲南大学(15-401室,B504室,103室)
9月17日 日本動物学会第74回大会シンポジウム
 タイトル:動物未受精卵に存在する細胞分裂抑制因子:その研究の歴史と展望
 会場:函館大学
9月20日 視察及び討論
 場所:北海道大学大学院理学研究科(片桐名誉教授)
9月29日-  
10月18日
共同研究「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」の遂行
 場所:甲南大学(15402室,B-153室,B-518室)
10月21日 講演会
 タイトル:発生過程における細胞分裂周期の変化
 会場:熊本大学
10月22日 講演会
 タイトル:発生過程における細胞分裂周期の変化
 会場:九州大学
10月27日-
11月7日
共同研究「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」の遂行
 場所:甲南大学(15402室,B-153室,B-518室)
11月8日 講演会
 タイトル:発生過程における細胞分裂周期の変化
 会場:甲南大学
11月10-22日 共同研究「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」の遂行
 場所:甲南大学(15402室,B-153室,B-518室)
11月25日 視察及び研究打ち合わせ
 場所:山口大学理学部(岩尾教授)
12月1日 離日


受入実施の状況とその成果

(1)学術交流
  1. 学内での学術交流
     11月8日に生物学科学生と教員を対象としたセミナーを開催した.タイトルは「発生過程における細胞分裂周期の変化」であった.ご自身の最近の研究成果と今後の課題について分かりやすく解説され,その後,活発に質疑討論が行われた.セミナー後の茶話会では,カナダと日本の大学の教育体制や研究環境の比較や,国民性の違いなど学問以外の先生のお考えに接することができ,増井教授の見識の深さに一同感銘した.研究室のセミナー(土曜1限)と大学院の講義「動物生理生化学」(土曜2限)に出席して頂いた.前者は,研究室のメンバーが研究内容と今後の計画・展望を中心に紹介し,増井教授から評価と助言を頂いた,後者は,発生生理学,生殖生理学,内分泌生理学,など多岐に渡る論文の紹介とそれに関連した討論で,貴重な助言を頂いた.論文作成中の大学院生は,英文校閲や論文の作成作法について指導を受けた.具体的に増井教授に英文校閲を頂いた原稿は,Yamada R. and Sonobe H. (2003):Purification, kinetic characterization and molecular cloning of a novel enzyme ecdysteroid-phosphate phosphatase. J. Biol. Chem. 278(29), 26365-26373とSonobe H and Yamada R.:(2004) Ecdysteroids during early embryonic development in the silkworm Bombyx mori: metabolism and function. Zool. Sci. 21(5)(印刷中)である.これらの論文では,増井教授の校閲に対して謝辞を記した,また,日本動物学会第74回大会(9月17日-19日,函館市)で発表予定の学生(4名)は発表の練習の段階で,増井教授に図表のまとめ方や内容のチェックなど細かなアドバイスを頂いた.日常の研究に関しては,博士研究員とアルバイトの実験補助員がミジンコの飼育管理や試薬の調合,後片付け等を行い,増井教授の実験を補佐すると同時に,研究の進め方等の指導を受けた.

  2. 学外での学術交流
    日本動物学会第74回大会(9月17日-19日,函館市)に出席し,シンポジウム「卵成熟におけるM1-arrest:CSF研究の新しい展開」にて「動物未受精卵に存在する細胞分裂抑制因子:その研究の歴史と展望」と題して講演を行った.細胞分裂抑制因子(CSF)の分子的実体に関して活発な議論が行われ,CSF解明の重要さが浮き彫りにされた.また,9月20日に北海道大学大学院理学研究科(片桐名誉教授)を訪問し研究打ち合わせを行った.その際,山下教授の研究室のメンバーを交えて,カエルやメダカの初期発生における細胞分裂の分子的制御に関する討論と将来の研究計画の打ち合わせが行われた.以上の交流には西方助教授が随行した.さらに,10月21日に熊本大学を訪問し,医学部(山村教授)と理学部(安部教授)にて「発生過程における細胞分裂周期の変化」と題して講演を行った.続いて10月22日に九州大学を訪問し,大学院理学研究科(佐方教授)において同様の演題で講演を行った.校務の都合で随行者はなかった.

(2)共同研究
  1. 「ミジンコの単為生殖と両性生殖の細胞学的研究」に関して共同研究を行った.特に,ミジンコの性決定機構と耐久卵(休眠卵)の形成における環境要因とホルモンの影響に注目して解析を行った:単為生殖により雌のみで増殖するオオミジンコDaphnia magna に甲殻類の幼若ホルモンであるmethyl farnesoate (MF) を曝露したところ,濃度依存的に雄の産生の割合が増加した.MFを卵母細胞の種々の発育時期に曝露したところ,MFは卵黄蓄積に最も効果的に作用したていることも明らかとなった.MFが実際にD. magna 体内で生合成されているかどうかを知るために,farnesoic acidのメチル化反応(MF生合成の最終段階)を[3H]methyl methionineを用いて調べた.その結果,D. magna はMFを生合成していることが明らかとなった.得られた結果は,環境中のMFやMF類似体はミジンコにとって内分泌撹乱化学物質的に作用していることを示唆するものである.これらの研究成果は,日本動物学会第74回大会(9月17日-19日,函館市)にて,「ミジンコの性決定に関与する内分泌機構」と題して発表した.さらに,「オオミジンコの性決定と生殖様式の変換機構の内分泌学的アプローチ」と題して,比較内分泌学会ニュース(Vol. 111, pp. 4-10, 2003)でも公表した.

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

 毎週土曜日の研究室セミナーでは研究の進捗状況と今後の研究の進め方について評価と助言を頂いた.また,論文作成中の大学院生は,英文校閲や論文の作成作法について指導を受けた.博士研究員の村田は,増井教授との共同研究に沿って指導を受け,国内学会(日本動物学会,日本応用動物昆虫学会)で発表した.この共同研究は国際学会での発表および国際誌への公表をめざして,現在研究を継続中である.


その他

 増井教授が,カナダ民間人に与えられる最高位の「オーダーオブカナダ勲章」を受賞されたとの記事が,学内誌「甲南Today」(No. 16,2003年12月号)に紹介された.