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国際事業部人物交流課
外国人著名研究者招へい担当
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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

増井禎夫

滞在中の日程
年 月 日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
2003年1月 6日 来日
1月14日 講演会
タイトル:真の研究と贋の研究
会場:甲南大学(神戸市)
1月28日 講演会
タイトル:細胞周期時間の調節について
会場:理化学研究所、発生・再生科学総合研究センター
(神戸市、甲南大学と理化学研究所との共催)
1月29日 講演会
タイトル:細胞周期時間の調節について
会場:東京工業大学大学院生命理工学研究所(横浜市)
1月30日 日本学術振興会表敬訪問
2月18日 講演会
タイトル:細胞周期時間の調節について
会場:慶応義塾大学理工学部(横浜市)
2月19日 視察及び討論
東京大学大学院総合文化研究所、浅島誠教授及び馬渕一誠教授
2月24日 講演会
タイトル:細胞周期時間の調節について
会場:JT生命誌研究館(高槻市)
3月21日 増井禎夫先生を囲む特別ワークショップ:
[「細胞を知る・生命を知る」これからの生命科学にはどのようなアプローチが可能か]にて特別講演
タイトル:発生・細胞生物学の過去と現在
会場:甲南学園平生セミナーハウス(神戸市)
3月27日 第123年会日本薬学会にて特別講演
タイトル:私が歩んだ細胞周期研究の歴史
会場:長崎ブリックホール(長崎市)
3月31日 平成14年度招へい事業終了
4月 3日 離日

受入実施の状況とその成果
 増井禎夫教授の招へい目的は2つに大別できる。1つは学術交流であり、もう1つは共同研究の推進である。

(1)学術交流について
  1. 学内での学術交流:
    1月14日に主に理工学部学生と教員を対象とした学術講演会を開催した。タイトルは「真の研究と贋の研究」であった。ご自身の研究の経験、歴史的研究の背景と社会に及ぼす影響、トロント大学での最近の大学行政や研究環境、産学連携の問題点など熱心に語りかけられた。2月20日に開催された生物学科主催の卒業論文及び修士論文発表会にも出席され、学生へ助言を頂いた。また、毎週土曜日に開催される研究室のセミナーへ出席していただき、特に大学院生の研究の進捗状況や今後の研究方針について貴重なご意見や助言を頂いた。
  2. 他大学、他研究所との学術交流:
    理化学研究所(1月28日)、東京工業大学(1月29日)、慶応義塾大学(2月18日)、JT生命誌研究館(2月24日)、日本薬学会(3月27日)にて講演を行った。また、2月19日に東京大学の浅島誠教授と馬渕一誠教授を訪問し、研究打ち合わせと討論を行った。これらの講演会や訪問に際し、ほとんどの場合、園部と西方が随行し学術交流に参加した。さらに、甲南大学平生セミナーハウス(3月21、22日)にて増井禎夫先生を囲む特別ワークショップ:「細胞を知る・生命を知る-これからの生命科学にはどのようなアプローチが可能か」を開催した。このワークショップには全国各地の大学及び研究所から60名を超える参加があり、甲南大学吉沢英成学長の挨拶に続いて、増井先生の特別講演「発生・細胞生物学の過去と現在」、3題の招待講演、32題の一般講演が行われた(添付資料参照)。
(2)共同研究について
  1. ミジンコの生殖と胚発生の調節機構の解析:
    オオミジンコは通常単為生殖によって雌のみが産生されるが、methoprene、 pyriproxyfen、 fenoxycarb、methylfarnesoate などの幼若ホルモン類縁体を作用させると、雄が産生されることが明らかとなった。これらの幼若ホルモン類縁体がミジンコの性決定や生殖細胞の形成過程をどのように調節しているかを解析するために、卵の減数分裂過程や卵巣成熟過程の形態変化の観察を行った。
  2. カイコ胚における細胞分裂の停止と進行を調節するホルモン機構の解析:
    カイコの胚は通常受精から11日目にふ化するが、休眠卵では産卵後2日目(原腸胚期)に胚発生が停止する。これは、胚発生の進行に関与するエクジステロイドが休眠卵では活性化されないためである。エクジステロイドの活性化に関与する酵素を精製し、その遺伝子をクローン化した。その結果、この遺伝子は新規の酵素であることが明らかとなった。
  3. ホヤ胚における細胞分裂調節機構の解析:
    細胞系譜と細胞分裂が正確に決められているホヤ胚において、特定の割球の発生運命を変更する薬剤処理が知られている。その際の細胞分裂のタイミングがいつどのように変更されるかを、追跡蛍光色素であるDiIを用いた割球染色により明らかにし、細胞分化と細胞周期調節との関連を明らかにしようとしている。これまでのところ、薬剤処理後すぐに分裂パターンに変化が見られ、分化シグナルと細胞周期変化が密接に結びついていることが分かった。


受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激、受入機関全体の国際化など)
 毎週土曜日に開かれる研究室セミナーでは、研究の進捗状況と今後の進め方について助言を頂いた。また、卒業論文と修士論文の発表会では専門外の分野についても終始建設的な助言を頂いた。さらに、論文作成中の学生は、英文校閲や論文の作成作法について指導を受けた。
 今回の招へい事業遂行のために特別に採用された2名の博士研究員は、増井教授との共同研究テーマ(前項「(2)共同研究について」の①及び③)に沿って指導を受け、それぞれの博士研究員は国際学会での発表をめざして、現在研究を継続中である。


その他
 増井先生を迎えた今回の招へい事業と研究内容については、甲南学園広報室発行の「甲南Today」(2003年3月15日号)に「世界的権威を迎えて挑む生命科学の最先端」として紹介された(添付資料参照)。
 日本経済新聞の科学面連載の「大学改革」にも記事が掲載された(添付資料参照)。ここでは本事業により著名研究者を招へいして、研究能力を高めようとする甲南大学の姿勢が紹介されている。