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外国人著名研究者招へい担当
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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Johann Deisenhofer

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成24年  
10月29日 新千歳国際空港に来日
10月30日 北海道大学を訪問
大学院先端生命科学研究院にて研究打ち合わせ
10月31日 北海道大学を訪問
大学院先端生命科学研究院にて研究討論
大学院先端生命科学研究院にて大学院および学部学生に対して講義
11月1日 北海道大学を訪問
大学院先端生命科学研究院にて大学院および学部学生に対して講義
11月2日 札幌(新千歳国際空港)から関西国際空港を経て京都へ移動
11月3日 祝日・フリータイム
11月4日 日曜・フリータイム
11月5日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究討論
11月6日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて若手研究者との研究討論
11月7日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究討論
11月8日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて大学院および学部学生に対して講義
11月9日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて大学院および学部学生に対して講義
11月10日 大阪国際空港から離日

受入実施の状況とその成果

今回の招へい事業における成果は,主に次の二つの点である.


1) 研究討論

京都大学において,タンパク質結晶学および構造生物学の先端研究に関してDeisenhofer博士との幅広い議論が行われた.三名の若手研究者(二名の博士研究員と一名の修士課程大学院生)が博士に対してそれぞれ研究発表を行った.うち二名のテーマは,タンパク質の超高分解能結晶構造解析に関するもの,ほか一名はヒドロゲナーゼ成熟化因子の構造生物学研究に関するもので,受入研究者の研究室で行われている最近の研究結果について,さまざまな議論と意見交換が行われた.とくに,タンパク質の超高分解能結晶構造解析については,結果として得られた外殻電子密度の解釈に関して,踏み込んだ議論を行うことができた.また,学生に対する講義で訪れた北海道大学においても,ホスト研究者が行っている構造生物学研究について,さまざまな議論と意見交換が行われた.

2) 学生に対する講義

今回の招へいでの主要な目的であるDeisenhofer博士による学生のための英語による講義は,京都大学および北海道大学で行った.昨年度は京都大学において,”Principles of X-ray Diffraction”というテーマで,理学部の2,3回生を主たる対象とした一回の講義を実施した.本年度は,京都大学および北海道大学で単位を出すことを勘案して,博士が2回の講義を行い,それぞれでの大学での受け入れ教員らが残りを補充するかたちで,主に大学院生向けの特別講義を実施した.その結果,受講学生に対して京都大学では1単位,北海道大学では0.5単位を与えることとなった.博士による2回の講義の内容は次の通りである.

第一回目:

講義タイトル:"Macromolecular crystallography: Past, present, and future" 要旨:Macromolecular crystallography has grown from an exotic activity, done by only a few researchers, to a tool that is being used in much of biological research. This growth was made possible by developments in science and technology such as, for example, recombinant DNA methods, synchrotron radiation, high-speed computers, etc. The lecture will describe some of these developments. It will also make an attempt to predict the near and intermediate future of macromolecular crystallography.

第二回目:

講義タイトル:"Protein structure refinement" 要旨:Protein structure refinement was attempted soon after the first protein structures had been determined. The first successful refinement, using methods established in small molecule crystallography, was reported in 1973. The lecture will describe this work and the refinement methods specific for protein structures that were developed later.

第一回目の講義では,タンパク質結晶学の基本的な概念に始まり,タンパク質の構造決定法としてのこれまでの歴史を振り返り,新しいX線源である自由電子レーザーの利用をも含めた将来展望が示された.第二回目の講義では,タンパク質結晶学での重要な最終的段階である構造精密化について,その創成期において博士が携われた研究内容を交えて丁寧な説明があった.受講した学生は,英語の講義での難しさもあったようであるが,熱心に受講しそれぞれに感銘を受けたようである.なお,北海道大学でのホスト研究者は,大学院先端生命科学研究院,田中 勲教授であった.

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

1) 研究討論では,研究室内の大学院生や博士研究員などの若手研究者が中心となって参画し,それぞれがプレゼンテーションを行った後に,いくつかの論点について博士と直接に議論して,有意義な意見交換を行うことができた.

2) 学生への特別講義では,京都大学では約30名,北海道大学では約50名が受講した.大学院生のみならず,学部生も数名が受講した.博士の英語はわかりやすく,務めて理解しやすいように話されたが,英語での講義であるため理解が十分でない部分もあったようであるが,全般的には極めて熱心に聴講して,ノーベル賞受賞者からの結晶学の講義を受けるということで大きな刺激を受けたようであった.講演後の学生の質問に対して,博士はていねいに答えて下さった.また,受講した学生にアンケートの提出を求めたところ,英語の理解度にはばらつきがあるようであったが,英語力を高めることの重要性もあらためて認識したとの記述も複数見受けられた.講義の内容については,おおむね好評であった.

このように,多くの若手研究者,学生が刺激を受け,国際化にも一定の効果があったと思われる.

その他

今回の招へいを可能とした独立行政法人日本学術振興会に謝意を表したい.博士も同会への謝意を帰国の際に表していた.