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外国人著名研究者招へい担当
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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業報告書

Johann Deisenhofer

滞在中の日程
年月日 訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
平成23年  
9月19日 大阪国際空港に来日
9月20日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究打ち合わせ
9月21日 関西国際空港から札幌(新千歳国際空港)へ移動
9月22日 北海道大学を訪問
大学院先端生命科学研究院にて研究討論
学術交流会館にて学術講演
9月23日 祝日フリータイム
9月24日 週末フリータイム
9月25日 札幌(新千歳国際空港)から関西国際空港を経て京都へ移動
9月26日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究討論
学術講演
9月27日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究討論
学部学生に対して講義
9月28日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究について若手研究者との討論
9月29日 大阪大学を訪問
蛋白質研究所にて研究討論
学術講演
9月30日 京都大学を訪問
大学院理学研究科にて研究打ち合わせ
10月1日 大阪国際空港から離日

受入実施の状況とその成果

今回の招へい事業における成果は,主に次の3つの点である.


1) 学術講演会

学術講演会は京都大学,北海道大学,大阪大学において行った.講演会の演題は,”STRUCTURAL BIOLOGY: Challenges and Prospects”で,博士のこれまでの構造生物学分野での研究経験の上に立ち,この分野の発展の振り返り,今後の方向性への示唆を示すものであった.博士による講演要旨は次のようなものであった.”Despite great achievements over the last 50 years, structural biology still faces challenges such as a continuing need to push the boundaries of current techniques for structure determination of proteins and nucleic acids, as well as larger assemblies. Even more necessary are improvements of our understanding of macromolecular structures, so that we can make reliable predictions, for example, about the folding, stability, and function of proteins. Using examples from our own work, I will discuss open questions in modeling macromolecular structures and dynamics.”各大学における計3回の講演会では,参加者は大きな感銘を受け,講演後には活発な議論が行われた.なお,それぞれの大学でのホスト研究者は,北海道大学大学院先端生命科学研究院,田中 勲教授,大阪大学蛋白質研究所,中川敦史教授であった.

2) 研究討論

京都大学においては,タンパク質結晶学および構造生物学の先端研究に関する幅広い議論が行われた.一つの主要なテーマは,タンパク質の超高分解能結晶構造解析に関するもので,受入研究者の研究室で行われている最近の研究について,若手研究者を交えて,深い議論と意見交換が行われた.また,学術講演会で訪れた北海道大学,大阪大学においても,ホスト研究者が行っている構造生物学研究を中心に,議論と意見交換が行われた.

2) 学生に対する講義

今回の招へいでの最も特徴的な企画として,博士による学部学生のための英語による講義を行った.講義の演題は,”Principles of X-ray Diffraction”で,おおむね理学部の2,3回生を対象として,博士自身の言葉でX線回折の基礎を紐解いてもらおうとするものであった.博士はその講義内容を事前に次のように寄せた.”In this lecture I will give a brief introduction to the goals of Structural Biology. I will then describe the interaction of an electromagnetic wave with a few electrons, with an electron distribution, and with groups of atoms. From there I will proceed to diffraction from a crystal. I will then briefly discuss aspects of the relevance of protein crystal structures to protein structures in solution. Finally, I will comment on upcoming new X-ray sources and their possible impact.” 講義では,X線回折と結晶構造解析の基礎のみならず,その最後には新しいX線源である自由電子レーザーの話題にも触れられ,受講した学生は,英語の講義にも関わらず大きな感銘を受けたようである.

招へい研究者の受入機関に対する寄与
(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

1) 学術講演会では,本学のいくつかの部局からの聴講があり,また,大学院生や博士研究員などの若手研究者も多く参加し,多くの聴講者が大きな感銘を受けたと思われる.また,講演の内容も,これまでの構造生物学,タンパク質結晶学の歴史的発展から,新しいX線源である自由電子レーザーや計算生物学にも及んで,非常に広範な視点からの講演であったため,その意味でも若手研究者の受けた刺激は大きいものがあったと予想される.

2) 研究討論では,大学院生や博士研究員などの若手研究者も参画し,研究上の問題点を直接博士と議論,意見交換し,また,助言を受ける機会があり,極めて有意義であった.

3) 理学部学生への講義には,夏期休暇期間中にもかかわらず,およそ100名が受講した.多くの学生(2回生,3回生が中心)が英語での講義を聴く初めての機会であったにもかかわらず,ノーベル賞受賞者から物理学の基礎の講義を受けるということで極めて熱心に聴講し,理解に努めようとしていた.学生にとっては,内容の一部はすでに講義を受けたことのあるものであったようだが,とくに新しいX線源である自由電子レーザーの話などでは,力を入れて聴いていたようであった.博士の英語はわかりやすく,務めて理解しやすいように話された.講演後には学生が直接博士に質問をして,博士はこれにていねいに答えて下さった.また,受講した学生にアンケートの提出を求めたところ,英語の理解度にはばらつきがあるようであったが,博士の話はおおむね好評で,感銘を受けた様子がうかがえた.

このように,多くの若手研究者,学生が刺激を受け,国際化にも一定の効果があったと思われる.

その他

博士を手厚く招へいすることを可能とした独立行政法人日本学術振興会に謝意を表したい.滞在中に,博士からも深く謝意を表する発言があった.