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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業 平成23年度(第2回)報告書

滞在中の日程

Prof. Dr. Richard R. Ernst

第二回

平成24年/年月日
訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)

3月25日(日))

夕刻中国北京経由で来日。

3月26日(月)

日本化学会第92春季年会(慶應大学)での特別講演(2S-01) 14:00~14:50「Fascinating Insights in Chemistry, Biology and Medicine by NMR」(聴衆約100名)
夕刻の学会懇親会にも出席し、学会参加者との懇親を深めた。

3月27日(火)

午前中、日本化学会第92春季年会(慶應大学)
中村幹夫教授との研究ディスカッション。

3月28日(水)

東邦大学にて記念植樹を行い、大島範子理学部長、高橋 正 次期理学部長を交えて昼食歓談の後、 千葉大学にて講演 15:00~16:00 (聴衆約250名)「Academic Opportunities for Shaping a Better Future」(教職員院生学生200名) 
その後、齋藤 康 学長を訪問。

工学部共生応用化学科唐津 孝 教授、島津省吾教授による若手研究者とのセミナーが16:45~18:00開催され、4名の若手研究者(大久保准教授、野本准教授、石原博士、関 博士)が発表。Ernst博士との研究内容に関する討論を行った。

3月29日(木)

東京芸術大学にて講演 10:30~12:00 (聴衆約40名)
稲葉政満教授が主催する保存科学教室主催セミナーとして「Tibetan Painting Art: Pigment Analysis by Raman Spectroscopy.」 の講演題目で、保存科学における分光学とりわけ非破壊手法であるラマン分光による顔料分析の重要性に関する講演が行われた。昼食後、東京芸大保存科学関連研究施設訪問、質疑応答が行われた。

3月30日(金)

当初、保存科学に関する実地検証の視察として、日光東照宮視察を予定していたが、高齢で体力的にも厳しいと判断し、体調を配慮し中止。午前中を帰国準備に充て、成田に向かう。

3月31日(土)

成田空港から帰国

受入実施の状況とその成果

平成22年度に引き続き,(独)日本学術振興会外国人著名研究者招へい事業の採択を受け,1991年ノーベル化学賞受賞者 Richard R. Ernst 博士(スイス連邦工科大学名誉教授)が、 本学 特別客員教授(東邦大学名誉博士)として,第2回目は3月25日(日)~31日(土)来日した。

Ernst博士は,パルスフーリエ変換NMR法を開発し,物質の分子構造を分析する感度と分解能を著しく向上させ、これにより初めて,わずかな物質量でも複雑な分子構造を核磁気共鳴法によって解明できることになった。さらに,二次元NMR法という分子内での化学結合をより詳しく調べる手法も開発し,現在の医療画像診断に必須のMRI法やタンパク質など生体巨大分子の分子構造解析法の基盤を築き上げられた。これらの革新的な高分解能核磁気共鳴分光法の業績により,1991年ノーベル化学賞を単独で受賞された。自然科学や医療分野にもきわめて大きな恩恵をもたらしているNMR法は,化学のみならず分子生物学,タンパク質やDNAの機能解析,人体の画像診断や代謝の解明,脳科学など多岐にわたりますます応用分野が広がっている。

3月中旬の第二回目の来訪では, 日本化学会第92春季年会(慶応大学)での講演に加え、千葉大学および東京芸大での講演を行い、3月31日(土)帰国した。

第2回の訪問では、3月28日に千葉大学の若手研究者4名との活発なディスカッションが講演後に行われた他、3月29日東京芸大における講演では保存科学におけるラマン分光に関する活発な討論が行われた。

招へい研究者の受入機関に対する寄与(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

第2回目の本年3月の来訪では、東邦大学独自の講演会は開催を見送ったが、千葉大学、東京芸大での講演はいずれも東邦大学が共催する形で実施された。

また、第2回の訪問では、東京芸術大学大学院 稲葉政満教授、桐野文良教授、永田和宏教授の研究グループの院生他、東京文化財研究所や奈良文化財研究所からも保存科学を専門とする若手研究者が講演会に参加し、講演会後にも、個人的にディスカッションをする若手研究者がいたり、昼食会の席上でも、積極的な質疑応答が行われた。ラマン分光研究に興味を持つ研究者が多く、非破壊分析ではあるものも顕微領域ながらも何がしかのダメージを対象に与える懸念や、ラマン分光とラマンイメージングに関する質問や、講演パワーポイント中にある、植物性Vegetable Dyeの組成が特定できるか、という専門的な質問や、ラマン分光におけるデータベースが赤外分光に比較していまだ完備していない状況に関する質問など、レベルの高いディスカッションが行われたと考える。

謝辞

本学は医薬理看護からなる理系総合大学であり、東邦大学の基礎的研究分野におけるErnst博士から数々の御助言をいただいたことは、とりわけ若手研究者や院生や学生の若い世代への刺激は大きく、東邦大学にとってErnst博士の寄与は計り知れないこととなった。

(独)日本学術振興会著名外国人研究者招へい事業により,平成22~23年度の2年間に亘り、核磁気共鳴分光法の分野で最も偉大な貢献をされたノーベル賞学者Richard R. Ernst博士を特別客員教授・東邦大学名誉博士として東邦大学にお招きできたことは,大きなよろこびであり、4回にわたるErnst博士の来日に対し、多大なご支援をいただいた学術振興会に謹んで感謝を申しあげます。