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外国人著名研究者招へい事業

研究活動報告

外国人著名研究者招へい事業 平成23年度 (第1回)報告書

滞在中の日程

Prof. Dr. Richard R. Ernst

第一回

平成23年/年月日
訪問先名称・訪問内容(研究討議・講演・視察等)
11月13日(日) 夕刻インドからシンガポール経由で来日。
11月14日(月) 東京工業大学訪問。昼食後、伊賀健一東京工業大学学長表敬訪問。理学系、工学系の案内の後、鈴木啓介副学長および楠見武徳特任教授のお世話で東京工業大学若手研究者である、木口准教授、大森准教授、安藤准教授、久堀教授、塚越教授の5名が、それぞれ質疑応答を含む30分間研究発表(15:00~16:20)を行ない、Ernst博士を交えて活発なディスカッションが交わされた。その後、16:30~18:00 Ernst博士の講演「Fascinating Insights in Chemistry, Biology and Medicine by NMR」が行われた。(教職員、院生学生約150名)
11月15日(火) 横浜港大桟橋ホールで開催された第50回NMR討論会記念国際シンポジウムで記念招待講演 (ML-06; 16:40~17:30)。 Ernst博士の演題「The Importance of the Fourier Transformation in spectroscopy. From Monsieur Fourier’s Calculus to Medical Imaging」はNMR討論会にふさわしい、もっとも専門性の高い演題であった。(聴衆350名) 同会場での夕刻のWelcoming Partyに参加し、内外のNMR研究者たちと懇談の時をもった。
11月16日(水) 東邦大学理学部化学科3年生の「化学文献購読II」の2限目(10:40~12:10)の授業をご担当いただいた。学術振興会のHOPEミーティングの様式に倣って、あらかじめ質問を提出し,それにErnst博士が答えていく形でのディカッションを山口耕生准教授(東邦大学)がメンターとなってユ-モアあふれるリラックスした雰囲気で質疑応答が交わされた。(学生約100名) 午後13:45~15:15には、東邦大学付属高校生徒のために「My Pathway into Science and Beyond (わたしの歩んだ道-科学とその彼方に見えるもの)」という講演題目での講演会が同時通訳付きで行われた。この講演は当初前回の訪問時に3.12に予定されていた講演であるが、3.11東日本大震災のため急遽,中止とせざるを得なかったものである。
11月17日(木) 東京理科大学理学部化学科の硤合憲三教授のお世話で東京理科大学を訪問、藤嶋 昭 学長を表敬訪問、昼食後、13:20~14:30Ernst博士の講演「Fascinating Insights in Chemistry, Biology and Medicine by NMR and Responsibility and Our Future」が行われた。(学生院生約150名)今回は学生院生の聴衆が多いことを鑑み、後半に演題を追加し、社会における科学者の責任にも言及した。 夕刻、横浜ホテルモントレーで開催された第50回NMR討論会記念国際シンポジウム懇親会に参加、出席者にスピーチを行った。
11月18日(金) 横浜国立大学工学部訪問。横山 泰 教授と榊原和久教授のお世話により、石原 修 工学研究院長および鈴木邦雄 横浜国立大学学長を表敬訪問。昼食および歓談後、14:40~16:10  Ernst博士の講演 「Fascinating Insights in Chemistry, Biology and Medicine by NMR」が行われた。(教職員、院生学生約150名)講演終了後、若手研究者である川村博士と稲垣博士により、それぞれ質疑応答を含む30分間研究発表(16:30~17:30)が行なわれ、Ernst博士を交えて活発なディスカッションが交わされた。
11月19日(土) 東邦大学理学部公開講座で10:20~11:50 「My Pathway into Science and Beyond (わたしの歩んだ道-科学とその彼方に見えるもの)」という講演題目で講演(同時通訳付き)をお願いした。当日は悪天候だったが、午後開催された理学部父母会への参加者を中心に、学生院生や一般公開申込者を含め、参加者は熱心に講演を聴講した。(聴衆約200名)講演終了後、理学部在学生父母参加者とは、昼食会で懇親の場を持った。
11月20日(日) 11:15成田空港から帰国

受入実施の状況とその成果

平成22年度に引き続き,(独)日本学術振興会外国人著名研究者招へい事業の採択を受け,1991年ノーベル化学賞受賞者 Richard R. Ernst 博士(スイス連邦工科大学名誉教授)が、 本学 特別客員教授(東邦大学名誉博士)として,平成23年度第1回目は11月13日(日)~20日(日)来日した。

Ernst博士は,パルスフーリエ変換NMR法を開発し,物質の分子構造を分析する感度と分解能を著しく向上させ、これにより初めて,わずかな物質量でも複雑な分子構造を核磁気共鳴法によって解明できることになった。さらに,二次元NMR法という分子内での化学結合をより詳しく調べる手法も開発し,現在の医療画像診断に必須のMRI法やタンパク質など生体巨大分子の分子構造解析法の基盤を築き上げられた。これらの革新的な高分解能核磁気共鳴分光法の業績により,1991年ノーベル化学賞を単独で受賞された。自然科学や医療分野にもきわめて大きな恩恵をもたらしているNMR法は,化学のみならず分子生物学,タンパク質やDNAの機能解析,人体の画像診断や代謝の解明,脳科学など多岐にわたりますます応用分野が広がっている。

平成23年度は11月中旬の第1回目の来訪では、第50回NMR討論会記念国際シンポジウムでの記念招待講演に加え、東京近郊の主要大学(東京工業大学、東京理科大学、横浜国立大学)での講演,また東邦大学においては、化学科学部学生の授業を1回、11月16日付属高校生および19日在学生父母にそれぞれ講演をしていただき、11月20日(日)帰国した。

招へい研究者の受入機関に対する寄与(若手研究者への刺激,受入機関全体の国際化など)

Ernst博士は昨年の3.11大震災や原発事故を、東京でのHOPEミーティングの最中にまさに身近に体験され、現在国難に対峙しているこの日本で,社会における科学者の責任はどのようにあるべきかというメッセージを、若い世代に送ることを希望されていた。その意味でとりわけ平成23年度の第1回目の来訪は、意義深いものとなった。

第1回目の昨年11月の訪問では、とくに若い世代を対象にした、東邦大学の付属高校生に対する講演および一般聴衆を対象にした公開講座での講演で、2回にわたって同時通訳を導入することによって、聴衆がより講演を深く理解できるようになった。 また、若手研究者との交流も東京工業大学、横浜国立大学での講演前後に、十分な時間を割いて実施する事ができた。

謝辞

本学は医薬理看護からなる理系総合大学であり、東邦大学の基礎的研究分野におけるErnst博士から数々の御助言をいただいたことは、とりわけ若手研究者や院生や学生の若い世代への刺激は大きく、東邦大学にとってErnst博士の寄与は計り知れないこととなった。

(独)日本学術振興会著名外国人研究者招へい事業により,平成22~23年度の2年間に亘り、核磁気共鳴分光法の分野で最も偉大な貢献をされたノーベル賞学者Richard R. Ernst博士を特別客員教授・東邦大学名誉博士として東邦大学にお招きできたことは,大きなよろこびであり、Ernst博士の来日に対し、多大なご支援をいただいた学術振興会に謹んで感謝を申しあげます。