サイエンス・ダイアログ

2018/04/04 「サイエンス・ダイアログ」を実施しています。

サイエンス・ダイアログは、日本学術振興会のフェローシップ制度で来日している優秀な若手外国人研究者(JSPSフェロー)に有志を募り、近隣の高等学校等に対して英語での研究に関するレクチャーを提供するプログラムです。

地域の大学や研究機関で活躍しているJSPSフェローから、英語で研究の話を聞くという経験が、生徒達に大きな刺激を与え、研究への関心・国際理解を深めるだけでなく、JSPSフェロー自身にとっても、地域社会と交流し、日本とのつながりを深めることを狙いとしています。

実施をご希望の場合は事業のウェブページをご参照の上、参加申込書をご提出ください。皆さまのご参加をお待ちしています。

■実施プログラム例の紹介

平成30年3月9日 静岡県立掛川西高等学校 (講師:Dr. Isabel B. Franco)

 平成30年3月9日に、日本学術振興会外国人特別研究員(JSPSフェロー)のDr. Isabel B. Franco(イサベル・B・フランコ博士)が、静岡県立掛川西高等学校の1・2年生を対象に「世界から地域における持続可能な開発のための教育」についての講義を行いました。

講師のDr. Franco

 講義は、自己紹介の後、講師のこれまでの研究・教育経験の紹介から始まりました。まず、コロンビアでは小学生から大学生までの様々な年代に対する教育を行い、次にオーストラリアでは様々な国籍等の多様な背景をもつ生徒を相手に持続可能な開発に関する教育に携わりました。続いて、アフリカのアンゴラでは、持続可能な開発にかかわる公共部門で働きました。アンゴラでは石油資源が豊富にあり関連企業が多数存在する一方で廃棄物の管理などに問題も生じており、それらの対策が必要になっています。その後、タイでは持続可能な開発についての企業への教育等に取り組み、昨年の6月に来日し、現在まで研究を行っているとの説明がありました。

 ここから具体的な研究内容の説明に移り、「持続可能な開発のための教育(ESD)」について説明されました。ESDとは持続可能な開発を実現するために発想し行動できる人材を育成する教育を意味します。例えば、開発途上国ではマラリアが問題となっていますが、マラリアを媒介する蚊は水環境と密接に関連しており、その解決には複数の課題が関係するため、困難となっています。このような問題を解決していくためにはESD が重要です。ESDを進めていくためには、政府、学校、大学、会社、地域がつながって解決に取り組んでいく必要があるとの説明がありました。

講義の様子

 次に「持続可能な開発目標(SDGs)」について生徒自身がiPadを利用して調べ、発言していく形で授業が進められました。SDGsには持続可能な世界を実現するための17の目標が設定されています。例えば、「①貧困をなくそう」「②飢餓をゼロに」「③すべての人に健康と福祉を」「④質の高い教育をみんなに」「⑤ジェンダー平等を実現しよう」というものです。それぞれの目標について生徒が調べた結果を発表した後、講師からの説明がありました。

 続いて、「Walking on water」というYouTubeの動画が紹介されました。この動画は、気候変動に伴う海水面の上昇と地震による地盤沈下により常に足元が浸水している環境下で生活している島のコミュニティの様子を紹介したものです。実際に海水面の上昇に直面している住民の現状が伝えられました。

iPadを用いて検索

 次に、5~6人が1グループとなり、ワークショップが行われました。各グループがSDGsの17の目標のうち1つについて、持続可能な行動とそうではない行動の例を議論して提案するというものでした。議論した内容は動画または音声で記録し、発表および講師へ提出されました。発表は時間の都合上1グループとなりましたが、それぞれのグループで熱心に議論が行われました。

ワークショップの様子

 最後に、質疑応答が行われました。生徒からSDGsの10番の目標(人や国の不平等をなくそう)に対してどのような人が取り組んでいるのかという質問があり、講師から丁寧に回答していました。講師が一方的に授業をするのではなく、課題に対して生徒が調べて発表する機会やワークショップが組み込まれており、双方向にコミュニケーションが行えるよう工夫していることが伝わる講義となりました。