HOPEミーティング

第3回HOPEミーティング開催概要

日時:2011年3月7日(月)~11日(金) 5日間
会場: グランドプリンスホテル新高輪
テーマ:Art in Science
対象分野: 物理学(及び関連分野)
主催: (独)日本学術振興会
後援: 読売新聞社
参加者の集合写真


第3回となる今回のミーティングは、物理学および関連分野を対象に、日本学術振興会理事であり、2008年ノーベル物理学賞受賞者である小林誠博士を組織委員長として開催されました。アジア・太平洋の14の国・地域から約100名の大学院生が参加し、講演者として、小林博士のほか、8名のノーベル賞受賞者及び2名の著名研究者が招待されました。
プログラムは、①講演者による講義、②講演者を囲んでのグループ・ディスカッション、③参加者それぞれによるポスター発表、④多国籍からなる参加者チームのプレゼンテーション、⑤研究施設見学等から構成され、すべて英語で進められました。

野依博士の講演

講演では、各講演者から研究業績や科学者としての生き方、科学に対する考え方等が語られました。それぞれの講演の最後には質疑応答の時間があり、参加者からは「受賞理由となった発見をしたときにどのように思ったのか」「理論と実験のそれぞれの重要性についてどう考えるか」など様々な質問が挙げられました。一部の講演はインターネット上でのライブ中継を通じて、一般にも公開されました。

グループ・ディスカッションの様子

2日目及び4日目のグループ・ディスカッションでは、一人の講演者につき参加者が約20名ずつに分かれ、講演者と専門分野の近い准教授クラスの日本人研究者をサポート役に、より身近な距離で対話を行いました。

J-PARC視察

会期3日目には、茨城県にある大強度陽子加速器施設(J―PARC)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)の視察を行いました。早朝の出発であったにもかかわらず、参加者たちは様々な成果を生み出している最先端研究施設を精力的に見学し、案内役の施設の担当者を質問攻めにしていました。

ポスターセッションの様子

さらに、期間中にわたって設けられた参加者によるポスター発表会場では、各自の研究内容について参加者同士、また講演者・組織委員等に対して熱心に説明する様子が見られました。中には、実際に実験器具やコンピュータを使って工夫を凝らした発表を行う参加者もおり、熱のこもった意見交換がなされていました。

チームプレゼンテーションの様子

ミーティング最終日の3月11日午後、チームプレゼンテーションの最中に、東北地方太平洋沖地震が発生しました。残念ながら、最終日のプログラムを途中で打切らざるをえませんでしたが、閉会式として、小林委員長から一人一人に参加証明証を手渡されるとともに、ベストポスター賞の表彰が行われ、緊迫した雰囲気の中でも少しばかり和やかな雰囲気が流れました。

最初は参加者同士ぎこちなさも見られましたが、寝食を共にし、またチームプレゼンテーションの準備をする中で次第に打ち解け、それぞれの研究内容から文化の違い、人生観に至るまで、様々なことを話し合う様子が見られました。講演者の方々も、食事や休憩時間に参加者の輪に進んで加わられ、講演やグループ・ディスカッションでは触れられなかった事柄についてより詳細な説明をしたり、参加者からの質問に答えたりされていました。

HOPEミーティングJr.

小中学生の科学に対する関心を高めることを目的に、小中学生とHOPEミーティングに参加するノーベル賞受賞者が実験などを通じて交流するのが「HOPEミーティングJr.」です。本イベントは、HOPEミーティング前日の3月6日(日)に国立科学博物館にて行われ、全国から公募により集まった26名の小学校4年生~中学3年生が参加しました。

サイエンス・コミュニケーターによる司会の下、まず最初に、益川博士と白川博士から「科学者を志す子どもたちの期待」について短いスピーチをいただきました。益川博士は基礎的な学問をしっかりと身につけることが重要であること、白川博士はチャンスを得るにはまずは知性を身につけることが必要であることを話されました。続いて自由形式による質疑応答が行われ、参加者からは、「子どもの時苦手だった教科は何か」「ノーベル賞を受賞して一番変わったことは何か」といった質問がありました。

その後、高エネルギー加速器研究機構の岩瀬広助教による指導のもと、各自霧箱を作成して放射線を観察しました。最後に小林博士から締めくくりのスピーチがあった後、全員揃って科学博物館内に展示してある大きな霧箱と、導電体プラスチックに関するパネルについて、それぞれ小林博士、白川博士から説明を受けました。参加者たちは、HOPEミーティングに参加する大学院生9名に助けられながら、実験や対話を通じて講演者との交流を楽しみました。

HOPEダイアログ

日本学術振興会のサイエンス・ダイアログ事業との共同企画として、科学に関心を持つ高校生を対象に、HOPEミーティングの講演者と科学について語り合うことを通じ、科学に関する関心を高めてもらうとともに、国際的な視点を持ってもらう機会を提供することを目的にHOPEダイアログが開催されました。

3月10日(木)16時より、首都圏を中心に全国の9つの高校から57名の高校生が集まり、エルンスト博士、江崎博士、グロス博士、小林博士、エクイスト博士によるパネルディスカッションや、2つのグループに分かれてのディスカッションを通じて交流を深めました。その内容は、研究者になろうと思ったきっかけから科学の平和的利用、科学の将来についてまで様々なことに及びました。

参加した高校生からは「グループ・ディスカッションで、質問したいことが存分に聞けて有益だった」「研究職への関心がとても高まった」「こんなに楽しい科学のイベントは初めてだった」と前向きな感想が聞かれました。