HOPEミーティング

第1回HOPEミーティング開催概要

日時:2008年2月24日(日)~29日(金)
会場:つくば国際会議場(エポカルつくば)
テーマ:ナノサイエンス、ナノテクノロジー
参加者内訳: 81名(うち女性数:19名)・13の国と地域から
第1回HOPEミーティングプログラム:

平成20年2月、茨城県つくば市のつくば国際会議場(エポカルつくば)において、「ナノサイエンス、ナノテクノロジー」をテーマに、第1回HOPEミーティングが開催されました。
 大会には、江崎玲於奈博士、ハインリッヒ・ローラー博士、白川秀樹博士、アラン・ヒーガー博士、ロバート・ラフリン博士の5人のノーベル賞受賞者をはじめとする12人の著名研究者が参加し、アジア太平洋13カ国・地域から集まった81人の若手研究者に対してテーマに基づく講演を行いました。研究者としての体験談や著名な研究内容の紹介、科学の発展に対するナノサイエンス、ナノテクノロジーの重要性など、多岐にわたる講演内容に参加者は興味深く耳を傾けていました。また、アジアを代表する芸術家である日本画家の平山郁夫氏からも、日本文化の発展にアジアとの交流が果たした役割について、印象深い講演が行われました。
 講演のほかにも、少人数グループでの講演者とのディスカッションやポスター発表が行われ、ノーベル賞受賞者と直接、議論や意見交換を行い、アドバイスを受けることができたほか、参加者同士でも国や専門分野を超えた交流が行われ、非常に有意義な機会となりました。
 第1回HOPEミーティングでは、全日程を通じて若手研究者が講演者とコミュニケーションを図ることのできる機会が多く設けてあり、参加者からは、普段接する機会が少ない世界トップレベルの著名研究者を身近に感じることができると、大変好評を博しました。

第1回HOPEミーティングでは、組織委員長の江崎玲於奈博士をはじめとした5名のノーベル賞受賞者と、日本を代表するナノサイエンス・ナノテクノロジー分野の研究者、科学雑誌編集者、芸術家など、合わせて13名による講演が行われました。
 江崎博士による基調講演では、自身の研究の歩みを振り返りつつ、アジア太平洋地域において「Science」という文化を根付かせることが必要であり、今回のHOPEミーティングの参加者には、科学の進歩に貢献できる「科学の精神」を持った真のリーダーになってほしいとの期待が述べられました。また、ハインリッヒ・ローラー博士による講演では、ナノテクノロジーが幅広く社会に与える影響について、白川英樹博士からは、自身の薄膜状ポリアセチレンと導電性発現の発見やセレンディピティにまつわるエピソードの紹介などが行われました。アラン・ヒーガー博士の講演では、半導体ポリマーを用いた太陽電池の可能性について、またロバート・ラフリン博士の講演では、将来の化石燃料の枯渇について科学者としてどういった対応を考えるべきかについて述べられました。またノーベル賞選考委員であるボルゲ・ヨハンソン博士からは、ノーベル賞の選考過程の紹介などが行われました。この他に、日本を代表する著名研究者や科学雑誌編集者による講演のほか、日本を代表する画家である平山郁夫氏から、シルクロードを通じたアジアと日本とのつながりについて講演がありました。
 講演内容は、非常に多岐に渡り、参加者は大いに刺激を受けました。また各講演の後には講演者と参加者との間での活発な質疑応答が行われました。

2月25日、26日の午後には、参加者が少人数のグループに分かれ、講演者とセミナー形式で議論するグループ・ディスカッションが行われました。日本人若手研究者が進行役となり、参加者は寛いだ雰囲気の中でノーベル賞受賞等の著名研究者と交流を行いました。
 ディスカッションでは、参加者が自分の研究内容について、講演者からアドバイスを得ることができた他、創造的な研究者になるために必要なことや、講演者の経験談など、さまざまな話題について、参加者と講演者が率直に議論することができました。
 講演者と直接対話することにより、参加者は文献やインターネット等では得ることのできない、科学者として必要な考え方や哲学を学ぶことができました。またアジア各国から参加した同世代の学生同士が議論することにより相互に刺激を受けると共に、お互いのつながりを築くことができました。

限られた会議期間中に、参加者同士の交流を深めるにはどうすればよいでしょうか?その答えは、「同じ課題に一緒に取り組んでみる」ということです。第1回HOPEミーティングでは、さまざまな国・地域から選抜された81名の参加者が、国・地域、言語、専門分野などの点で多様な構成と10のグループに分かれました。会議の最後には、このグループ毎に、「HOPEミーティング」で学んだことを活かしてプレゼンテーションを行うことが求められていました。各グループは大会期間中ほぼ行動を共にし、非常に限られた時間の中、最終日のグループ発表のために、夜遅くまで会議室やホテルのロビーで議論し準備を行いました。

会議最終日の2月27日の午後のプレゼンテーションセッションでは、メンバー全員が壇上に上がり、ノーベル賞受賞者等講演者と参加者の前で発表を行いました。あるグループは、HOPEミーティングへの参加によってどのような経験を得たか、そしてそれを今後にどう生かしていくかについて、また別のグループは、ナノテクノロジーの将来の可能性と課題について発表を行いました。講演者からは時には厳しい質問もあり、発表者が答えに窮する場面もありましたが、そのようなことも含めて参加者にとってはまたとない経験になりました。
 このグループプレゼンテーションにより、参加者は、多様な背景をもつメンバーと一緒にひとつの課題に取り組むことを通じて、お互いの文化的背景や価値観の違いを尊重しつつ、目標を達成する経験を得ることができました。このような経験は、彼らが将来世界的な活躍をする上で、非常に有益なものとなることでしょう。また今回培われたメンバー間の絆が、将来、アジア太平洋地域での科学技術コミュニティ形成のための種となることが期待されます。

第1回HOPEミーティングでは、講演やグループ・ディスカッションの他にも、参加者と講演者が自由に寛いで交流できる機会が多く設けられていました。
 2月25日夜には、ステファン・ノレーン駐日スウェーデン大使閣下、市原健一つくば市長、岩崎洋一筑波大学長をお招きしたレセプションが開かれ、講演者、招待者、参加者が自由に交流することができました。この場では、筑波大学の山海嘉之教授による「ロボットスーツHAL」の実演も披露されました。
 さらに、昼食時には参加者と講演者が同じテーブルで食事をしながら、さまざまな話題について親しく話をすることができた他、コーヒーブレーク時にも参加者が講演者を囲んで講演内容について熱心に質問する光景が見受けられました。

会議終了後の2月28日の午前には、日本の研究現場を紹介するための研究機関訪問が行われました。参加者は、つくば市内の独立行政法人産業技術総合研究所、日本電気株式会社(NEC)ナノエレクトロニクス研究所を訪問し、ナノサイエンス、ナノテクノロジー関連の最新の研究内容について、研究者より説明を受けた後、実際に研究設備の見学を行いました。参加者からは、研究内容や実験設備についての専門的なものから、研究所のマネジメントなどの制度面についても熱心に質問が出たため、しばしば見学予定時間が延長されることがありました。
その日の午後には、参加者はグループごとに分かれて東京に移動し、浅草等を訪問することで日本文化に触れるとともに、参加者間の親睦を深めました。