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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

九州保健福祉大学

見えるよ、話し声:ヒト音声の遺伝と環境を考える

整理番号 HT3111

実施担当代表者

山本 晴彦(やまもと はるひこ)

保健科学部 言語聴覚療法学科 教授

開催日

平成 19年 12月 2日 (日)

開催会場

九州保健福祉大学

住所:宮崎県延岡市吉野町1714-1

実施の様子

 当日は快晴、会場に参加者6名(中学生5名と小学生1名)と実施担当者(教員3名、事務局1名、機器担当者1名、指導大学生6名)が集まり、あいさつと自己紹介を行い、本プログラムの趣旨と科学研究費の使用目的と現状を説明した。

 本プログラムが話し声を題材にすることもあり、声を出すこと、話すことのウオーミングアップから始めた。ここでは、音声生成の3要素と題して、Flow空気の流れ、Vibration振動、Movement運動をスライドで提示し、息を吸う・吐き出すこと、声を出すこと(吸っても声が出せることも体験、恐る恐るやっていた)、口を動かすこと(母音での口の開きと舌の場所、子音での口の閉じ)の練習を行った。参加者は、はじめは小さな声しか出せなかったが、次第に積極的に声を出し、身体を動かすことができるようになった。

 本論Key Note講義として、苅安先生が話し声(音声言語)、遺伝と環境の話をした。ヒトの生命については、星野道夫の「私たちは弥生時代の先祖とわずか70~80世代しか離れていないこと」を語り聞かせ、参加者たちとその両親たちにおける身体や行動の近似性とその由来を説明した。その中で、ヒト行動への遺伝と環境の影響、音声の音響理論の概念、双生児や家族での音声の近似性を説明した。

実施の様子_1   実施の様子_2
写真(1):音声波形・スペクトログラムを中央のテーブルに持ち寄って、生徒たちは観察したことを思い思いに発言していた。   写真(2):講義では、内容の解説だけでなく、各自が音声を出してみるように促した。

 少し長かった話の後には、身体を使って空間作りを行った。既成のテントに、用意したパネルを渡し、自由に部屋を組み立てさせた。馴染みのない参加者同士が声を掛け合って、パネルをテントに立てかけ、テープで止め、中空間を見事に作成した。最も参加者の元気な声が出ていた時間でもあった。中空間を作った後には、用意した小空間(黒い布で覆われた箱)と2階までの建物の吹き抜けの大空間をめぐり、それぞれの空間に対する印象を書き取らせた。小・中空間には、早速数名で入り込み、ごそごそと話し合う様子がみられた。この活動は、身体を使うことが研究活動の一環であること(Mind & Hands)を体感させたものと位置づけられ、後の空間と音声の関係の導入となる活動でもあった。

 実験(1)では、協力学生の手伝いで、自分の名前をコンピュータに取り込み、波形とスペクトログラムを印刷、中央のテーブルに集まり、似ている・違う点を見つける課題を行った。「じいちゃんの心臓みたい!」という発言もあり、みんなの意見を求めながら、似ている部分と違う部分があること、名前に含まれる仮名文字も違うことに気づかせた。その後で、音声「トマト」を吹き込ませ、逆転させるとどうなるかを考えさせ、書き残すようにさせた。「トマト」とはならないことを聞かせて示し、自分の名前でどうなるかを予想させた。「わからない…」の声が多かったので、「話す時には口が動くね」とヒントを出すと、参加者から「あっ―」というヒラメキの声が上がった。全員に予想した逆転音声を言わせて収録、それを逆転させて、発表Timeとした。恥ずかしい気持ち半分、どうなるかワクワクした気持ち半分といった時間だった。昼休みの時間になったので、予定していた内容の一部は、午後に行うこととした。

 全員集合の写真をテント・中空間前で撮影、食事に出かけた。参加者から、午前中のめあては何かを訊ねられ、ドキドキ、学校教育の基本をこちらが体感した瞬間でもあった。大学のキャンパスの端にある小さいレストランまで歩き出し、用意ドーンで一番を競うように駆け出した。食事は和気合い合いと、デザートもいただき、研究室に向かった。教員3名の研究室は、整理整頓から乱雑・ごちゃ混ぜまで、研究環境(もちろん研究者自身)の多様性を体験したことであろう。
 午後は、太田先生の講義は「中国語音声と日本語音声の違い」であった。ティシュペーパーを吹きながら、パッアとパを出してみて、「一番中国人らしいのは誰」のコンテストをした。内藤先生の講義は「空間と音声」、小・中・大空間での表現方法と音声の特徴を示し、午前中の空間めぐりでの印象も意見交換した。
 実験(2)は、話し声の分析、文「あの山は蒼い」を収録(自然に話すことができなかった場合にはNGを出しやり直しをさせた)、持続時間の測定や基本周波数の平均と範囲の読み取りをしてから、印刷した資料にデータを書き込ませた。実験では、記録はとても大切、を強調した。結果を発表させ、お互いの値のあらましと範囲(ばらつき)を確認した(時間があれば、データを集計・表示できた)。実験(3)の話し方を変えた時の音声の観察は、残念ながら時間切れで、進むことができなかった。

 修了式では、本日のプログラムのねらいを説明し、全員の活発な動き、実験への取り組みを賞賛した。「未来博士号」を授与し、今後も科学への興味を抱き、ますますの勉強を期待することを表明した。「ひらめき賞」「ときめき賞」他の表彰、大学生が用意した景品を受け取って、解散した。きっと帰宅してから楽しめたことであろう。
 参加者6名と少数ではあったが、全員が活動に参加でき、実験でも自分の話し声の音響表示を観察することができた。特に、実験課題も個別に行うことができた点がよかった。また、身体を使う活動を多くしたので、研究が座学ではなく、データを取る環境を作り、観察、そして意見を述べるという、自分の身体を動かす行為であることが実感できたのではないだろうか。

実施の様子_3   実施の様子_4
写真(3):講義・実験の解説を聞く参加者と指導にあたった大学生たち、会場にはパソコン・音響機器とプリンターが3組配置されていた。   写真(4):廊下に設置されたテントに、思い思いにパネルを取り付ける生徒たち、講義からの開放がうれしかったのかとてもにぎやかなひとときであった。