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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

同志社大学

非線形ってなんだろう

整理番号 HT3079

実施担当代表者

近藤 弘一 ( こんどう こういち )

工学部・専任講師

開催日

平成19年 11月 14日(土)

開催会場

同志社大学京田辺キャンパス

住所:京都府京田辺市多々羅都谷1-3

実施の様子

実施の様子_写真1
 
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講義1

  • 題目:消える磁石の謎
  • 担当:同志社大学工学部電気工学科教授 大宮 眞弓
  • 時間:13:30~12:15
  • 概要:強磁性体の磁化のメカニズムを、非線形現象の例として、実験、理論、数値シミュレーションを通じて紹介した。
  • 実験:弱い磁石として、磁気を帯びたクリップを市販のデマグネタイザーで消磁する卓上実験から開始して、非常に強力な磁性を示し、かつ、200℃程度という低温をキュリー温度にもつ合金、Nd-Fe(ネオジューム鉄)を用いて、磁気が消える現象を体験させた。相転移現象という典型的な非線形現象を、簡単な実験設備で体験できた。
  • 理論:磁化のメカニズムとしては、イジングモデルによるものを紹介した。自由エネルギーの考え方を知るために、エントロピーの考え方の高度な数学を用いない解説を試みた。部屋の汚れ方を例えに、対数関数を用いたボルツマンの公式が自然に分かるように話をした。エネルギーに関しては、量子力学的な計算は難しいので省略したが、スピンの考え方を導入し、スピンが揃ったほうが、エネルギーが低くなること、かつ、自然界は低いエネルギーを好むことを理解してもらった。どちらも大学学部レベルよりも高度な内容で、完全な理解は難しいが、直感的な理解は、ある程度できたのではないかと思っている。
  • 数値シミュレーション:メトロポリス・アルゴリズム(焼きなまし法)による、2次元イジングモデルのJavaアプレットを用いて行った。温度と、初期状態がダイアログ式に調整できるアプレットを作り、いろいろ試してもらったが、コンピュータゲームに慣れている世代には、逆にインパクト不足だったようだ。もっとアナログに、さいころを振ってオセロでも行って、身をもって体験できるようにしたほうが良かったのかもしれない。
  • 総括:全体の印象としては、「非線形」以前に「線形」を知らない高校生には、少し無理があったようだが、もう少し工夫をして、実際に体験できるようにすることにより、もっと活気のあるサイエンス体験ができたかもしれない。

講義2

  • 題目:振り子でゆらゆら
  • 担当:同志社大学工学部電気工学科専任講師 近藤 弘一
  • 時間:13:15~16:00
  • 概要:日常生活で最も身近な物理現象である重力による現象を例にとり,非線形現象の複雑さ,おもしろさを実験と数値シミュレーションを通して体感する.
  • 理論:高校物理で習う力学の内容について図などを用いて分かりやすく説明を行った.特に実験で必要な物体の位置と加わる力の関係について詳しく解説した.自由落下による物理運動では物体に加わる力は定数となる.物体の速度は線形に変化する.一方,振り子運動では物体は棒につながっているため加わる力が棒の角度によって変化する.物体には加わる力は非線形に変化する.そのため振り子の等時性は成立せず,振り子の初期振幅と周期の関係は一定ではなく非線形に変化する.また,棒とおもりの数を増やして2重振り子,3重振り子も取り扱った.物理モデルとしては単振子の連結で構成されるが現象は複雑怪奇となる.
  • 実験:
    (ア)重力加速度:ボールを坂道で転がしその動きをデジタルカメラで動画として撮影する.動画ファイルをコンピュータに取り込みコマ送り再生でボールの位置を読み取る.時間と位置から速度を計算し,さらに物体に加わる加速度を計算する.内容は中学校,高校の物理で習うが実際に実験をすると理論通りにはならないことを体感してもらうのがねらい.加速度は一定ではなく振動して観測される点や重力加速度は理論値より小さく観測される.理由を考えることもねらい.
    (イ)単振子:棒におもりをつけた振り子の初期振幅と周期の関係を観測する.方法は(ア)と同じ.振幅は振動的に変化し時間とともに減衰する.抵抗による減衰効果はあるが1周期ごとに振幅と周期の関係は観測可能である.実験結果は線形ではなく非線形に変化する.この実験にねらいは日常生活で身近な現象でも解析は簡単でないことに気づいてもらうことにある.
    (ウ)2重振り子,3重振り子:この実験では予測不可能な動きを楽しんでもらうことがまず一番のねらい.一見すると単純に思える現象でも実際には複雑で奇妙な現象となる.非線形現象の難しさを感じてもらえたと思っている.
  • 数値シミュレーション:振り子の実験用として数値シミュレーターをJava Appletとして作製し,実物の実験とコンピュータの中で仮想の実験とを両方できるように準備した.実際の実験の観測の難しさを体感した後にコンピュータシミュレーションによる観測の簡便さを体感してもらうのがねらい.また実際の実験結果とシミュレーションによる結果の違いを考えてもらうのがねらい.
  • 総括:取り上げた題材は中学,高校とで習った内容であるので導入として良かったと思う.実際に実験をしてみると理論通りにはゆかず実験の難しさを感じてもらえたと思う.また,振り子の実験では非線形現象の複雑さを感じてもらえたと思う.