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本プログラムは「いのちをとりまく環境変化に対する生命現象」から「宇宙環境の中の生命現象」までを紹介し、物事・自然現象をそのしくみから考えることの面白さを伝えることを狙いとしたものです。
当日は会場の奈良県立医科大学医学部一般校舎の生物実習室に奈良、京都、大阪、兵庫から30名の中・高校生および3名の保護者が集まりました。
プログラムは吉田修学長の挨拶で幕を開けました。続いて日本学術振興会の渡辺謙太氏の本事業の狙いについて紹介いただいた後、講演に移りました。
講演では大西武雄教授が、「いのちをとりまく環境変化に対する生命現象」から「宇宙環境の中の生命現象」まで、身振り手振りの熱いトークで解説しました。生命誕生以来、地球上のすべての生物は様々な環境変化(温度・乾燥・紫外線・放射線・化学物質など)にさらされながらも巧みに生きながらえてきたこと、その環境変化との戦いの歴史が生物に刻まれていることを紹介しました。今まさに、ヒトは宇宙へと進出しつつある状況で、宇宙にはどのような環境変化があるのか、その環境変化にヒトは負けないのか、一緒に宇宙での生活についても考えてみました。
続いて、我々が開発した重力のない宇宙環境での実験器具について、「①針のない注射器?どうやって容器に液を注入できたのかな?②宇宙で液体はやっかいだ。ビーカーに入れても外に這い出て、空中に漂う。宇宙実験で二つの液体を混ぜるのはどうやったらいいのかな?」という質問に、生徒とスタッフでディスカッションを行いました。生徒たちは講義のメモを見直しながら、実際の器具を手に取り、頭をひねって悪戦苦闘。さらに、実際に宇宙に行った細胞性粘菌を顕微鏡観察。その生活環の中である時は単細胞生物、またある時は多細胞生物、さらに局面によって動物細胞や植物細胞の特徴を示す不思議な生き物に生徒たちは見入っていました。
昼食はラウンジでスタッフのみならず、院生・学生・留学生も交えて、中・高校生と一緒に会話をする時間を設けた。参加生徒は自然科学に対する関心が強く、午前中の疑問点など活発なディスカッションが行われた。生徒達は「考える」ことを楽しんでいるようであった。休憩時間にもスタッフへ質問にくる生徒がたくさんいました。それぞれ、参加生徒と個別に活発な質疑応答が行うことができました。
午後の実習が始まる前に、当日が「長崎原爆の日」ということもあり、大西武雄教授の生誕の翌年に起こったこの悲惨な出来事と、いのちの大切さ、尊さを生徒達に説いて聞かせ、黙祷を捧げた。その後、午前中の宇宙実験器具に対する種明かし。生徒達はその器具の巧妙なしくみに感心していました。引き続き、「普通のさかなが普通に泳げるのはどうしてなのか?普通のさかなを地上で逆さまに泳がすにはどうしたらよいか?」という体験実習を行いました。姿勢を保つためには、目だけでなく、内耳が大切なことを実体験し、普通のさかなを逆さ向きに泳がせるには「内耳を取って、下から光を当てる」というのには生徒達も驚いた様子でした。さらに、「さかさのさかな」を観察。「なぜ、地球上でさかさまに泳ぐのか?なぜ、地球上でさかさまに泳げるのか?宇宙ではどう泳ぐのか?このさかなは宇宙研究にどのように役立つのか?」について考えてみました。
休憩をはさんで、宇宙なるほどYes-Noクイズを実施。生徒達は講義と実習で得た知識をフル活用していました。クッキータイムには宇宙開発事業団内のショップから取り寄せた宇宙食(アイス、プリンなど)を食べながら、アンケートに一日の感想を記入してもらいました。
総評の後、講義の設問とYes-Noクイズの自己採点の結果、優秀者から順番に一人ひとりに修了証明書(未来博士号)を授与しました。この時の、生徒達の誇らしげな顔がとても印象的でした。これまで我々が参画してきた宇宙実験プロジェクトの記念品とこれまでの宇宙実験の成果をまとめた本を全員にお土産として渡しました。「さかさのさかな」を家で飼いたい!という生徒にも、サカサナマズをプレゼント。最後に大西武雄教授を囲んで、記念撮影をして散会しました。
今回出席をした中・高校生の科学に対する好奇心と意欲を強く感じることができました。また、屈託のない生徒たちの笑顔と「ありがとうございました」の言葉に、実施までの準備の苦労も吹き飛び、スタッフ一同、忘れられない一日となりました。参加してくれた生徒達にはこの講義・実習を通して、なぜ?という知的好奇心と、観察力と洞察力を身につけるきっかけになってもらえたらと願っております。このような企画が今後も継続されて、より多くの若者が科学好きになることを期待しています。
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