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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

京都大学

レーザービームで気象観測をやってみよう

整理番号 HT3069

実施担当代表者

中村卓司(なかむらたくじ)

生存圏研究所・准教授

開催日

平成 19年 11月 11日(日)

開催会場

京都大学・生存圏研究所(宇治キャンパス)および同・信楽MU観測所

住所:宇治市五ヶ庄、滋賀県甲賀市信楽町神山

関連URL

 http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/~mu/hirameki2007/ 

実施の様子

 大出力のレーザー光を上空に発射すると地球大気中の分子などによって散乱されます。この散乱光を望遠鏡で集めて分析することで上空の大気の温度や湿度などの高層気象観測を行なうことが可能です。このような装置を『レーザーレーダー』あるいは『ライダー』と呼んでいます。本プログラムでは、京都大学・生存圏研究所がKAKENHIを活用して行なってきたライダーによる気象観測技術や装置の開発研究をみなさんにご紹介するとともに、大型および小型のラマンライダーの装置を見ていただきました。併せてアジア域最大・世界最高性能のMUレーダー(中層・超高層大気観測用大型レーダー)を見学し、大気レーダーによる気象および大気の観測について学んでいただきました。また、代表的な高層気象観測である『気球観測(ラジオゾンデ)』の実演もご覧いただきました。日没後は、実際に小型および大型のライダーを稼動してはるか上空に発射されるレーザービームが大気の散乱で光って見える様子を満天の星空のもとで観察しました。集合時間(12:30)には雨模様でしたが、午後からは雨もあがって、好天に恵まれすべてのプログラムを予定通り終了しました。夜間は少々気温が低かったのですが、屋上でのレーザー光観察でみた美しい光景は参加したみなさんの心に強く刻まれたのではないかと想像しています。

 参加者は、中学生11名、高校生30名の計41名、それに保護者引率等の13名を加え総勢54名でした。参加者の男女構成は、男子25名、女子16名でした。京都(23名)、滋賀(9名)の参加者が多かったですが、大阪(6名)、兵庫(2名)、奈良(1名)からも参加がありました。
宇治キャンパスから滋賀県甲賀市信楽町の京都大学・信楽MU観測所に移動。まずは、MUレーダーの見学。直径103mの円形のアンテナ面に475本の八木アンテナ(TVのアンテナと同種類)がぎっしりならんでいます(図1)。アンテナ面にもはいっての見学をしました。「MUレーダー475本が並んだ姿は壮観だった。(高校生)」「レーダーを使っての観測についてもう少し詳しく知りたいと思えた。(高校生)」「MUレーダーを使って大気の様子を知ることにより気象観測にも利用できることにとても興味をもった。(高校生)」

実施の様子_1   実施の様子_2
図1 MUレーダーの見学。壮大なアレイ・アンテナ。   図2 講演の休憩時間に、気球観測の実演。

 気球観測実演で用いたヘリウムガスを詰めた気球は、地上でも直径約2 mになります。1.5kgの浮力を有しますので、手に持つと上向きに重たい(?)不思議な感じです。気圧、温度、湿度のセンサーを持ったラジオゾンデとともに高度30 km以上まで1時間半かけて上昇し、観測データを電波で地上に送ります。参加者のひとりが合図とともに放球をするところの写真です(図2)。「全体的にとてもおもしろかった。特にラジオゾンデはおもしろく興味がわいた(中学生)」。
 夕食後、ライダーを動作させ、レーザービームを上空に発射しました。図3左は移動観測用に開発した小型ラマンライダーで上空2 km付近までの水蒸気が計測できます。さらに屋上にあがって、大型のラマンライダーの強力なレーザービームを観察(図3右)。大気中の分子やエアロゾルからの散乱で緑色のビームが大空にまっすぐに伸びていく不思議な光景。ビームは鉛直上方に出ているのですが、自分の方に傾いてみえるという現象が参加者の興味をひいていました。「レーザーがとてもきれいでした。傾いて見えるのがとっても不思議でした(高校生)」「最初はレーザービームで気象観測?どういうふうに観測するんだろうと思ったけど思ってたよりもきれいで聞くほうも楽しかったです(中学生)」「レーザービームがすごかった(中学生)」。

 講演は、山本衛教授から『大型大気レーダーMUレーダーによる地球大気の観測』という題でMUレーダーと関連大気レーダーの研究の話を、中村卓司准教授から『ライダー(レーザーレーダー)による気象観測の技術と応用』という題で、KAKENHIによる大型および小型ライダーの気温・湿度を計るライダーの開発研究の話をしました。中1から高2まで幅広い学年の皆さんが参加したため、中学生諸君にはちょっと難しかったかもしれませんが、「講演が非常にわかりやすかったです。(高校生)」「テレビと似たような電波が大気のようすを知るのに使われているというのは不思議な感じがした。(高校生)」「レーザーやライダーを使って大気の様子がそこまでくわしくわかることに驚きました(高校生)」「物理の法則を応用して光を使って新しい情報を手に入れるのは難しいと思うが自分もやってみたいと思った(高校生)」「これからももっといろいろな場面で使われるのではないかと思いました(高校生)」と良く理解してもらうこともできました。

実施の様子_3   実施の様子_4
図3 小型ラマンライダーの実演は予想以上人気でした。レーザーポインタの600倍のビームが見えます(左)。
屋上では、さらに50倍も強力な大型ライダーのビームを鑑賞しました(右)。

 プログラム終了時に行なったアンケートでは46名の回答中、過半数の24名に「とても面白かった」と評価していただきました。「面白かった」の21名を加えると、98%になります。また、「研究者(大学の先生)からの話しなどを聞いて、将来、自分が研究者になろうと思いましたか。」という問いには、42名の回答中、4名が「絶対なろうと思った」21名が「できればなろうと思った」とちょっとびっくりするくらい研究者志向の強さが見られました(表1)。本プログラムが、中高生の研究者に対する興味に貢献したのであれば嬉しいかぎりです。

実施の様子_5

「目に見える形で皆さんの研究を知ることができてとてもおもしろかった。ものすごく夢があってこれからもがんばってほしいと思った(高校生)。」「専門用語がたくさん出てきたので少しわかりづらかったけど新発見がたくさんあって楽しかったです(中学生)」「研究者を身近に感じることができた(高校生)」。実施担当者も熱心な中高生に参加していただき、逆に刺激を受ける半日でした。このような企画をサポート頂いた日本学術振興会に改めて御礼申し上げます。
(注:文中の「」書きはアンケートからの抜き書きです)。