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| サイレントバースデーゲーム |
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| 宝探しゲーム開始 |
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| 探し出した宝の場所 |
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| 聴き上手になるエクササイズ |
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| 修了証書授与式 |
信州大学大学院教育学研究科臨床心理学専修の研究・教育を紹介する初めての催し「心理教育相談室ってどんなところ? 高校生のための心理教育相談室体験」を開催した。県内外から高校生(14名)と保護者(2名)計16名が参加した。ゲームやカウンセリングの基礎を通して、臨床心理学の基礎的な演習を体験学習した。
始めに、心理教育相談室室長(村上千恵子教授)が挨拶した。本企画は、(独)日本学術振興会が「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」と題した科学研究費補助金によって開催された。日本の科学研究を育てる重要な役割を担っており、子ども達に科学の楽しさや難しさ、不思議さに触れてもらう企画であることを、パンフレットとパワーポイントを使って紹介した。心理学や臨床心理学に関心の強い高校生のために、学部や大学院の特徴と学習過程、心理教育相談室の活動などについても紹介した。その後、体験学習のプログラムを務める司会・ファシリテーター(促進役)の大学院生二名(内田智美・兒玉恵)を紹介して、ゲームを開始した(10:30~12:30)。
自己紹介を兼ねた「動物あてゲーム」から始めた。2人ペアになって相手に似ている動物(例:パンダ・犬・猫・ウサギなど)を選び、ガムテープに動物名を書いて相手の背中に張る。2人ペアになって名前を名乗り、お互いの背中を見せ合う。背中に張られた自分の動物名が何なのか、推測できそうな質問をして答えてもらう。「私は足が速いですか?」など、イエスかノーで答える質問で、一人に1つしか質問できない。相手を次々に交替してヒントを増やし、動物名を正解した人から終了する。参加者は大部分の人と出会うため、知らない人とも楽しみながら親しくなっていることに気づいた。
次の「宝探しゲーム」(制限時間30分)のグループを決める前に、「サイレントバースデー」を実施した。指などボディランゲージを使って、誕生日順に輪になって並んでもらって、グループ(1グループ4~5人)を決めた。
「宝探しゲーム」は、山と川だけが書かれたA3用紙に、グループのメンバーで協力して宝のありかを探すゲームである。ヒントが書かれたカードが、各自に配布された。初めの20分はヒントを見せ合わないで、口頭で伝えながら宝を探していく。絵を率先して描く人、まとめ役をする人、内気な人も頑張って発言していた。5つのグループが競い合い、試行錯誤しながら宝探しに熱中した。
ゲームが終了したところで、参加者から感想や、気づいたこと、上手く行った理由などについて全員でシェアリングを行った。ファシリテーターが資料を配付して、午前中のゲームが構成的グループエンカウンター(Structured Group Encounter:SGE)に基づいたゲームであることを解説した。SGEは、集団の中でルールに従ってファシリテーターが指示するエクササイズ(活動)を行っていると、知らないうちに人間関係が深まり、お互いに本音で交流できるようになる。集団体験を通して、これまで気づかなかった自分にも気づけるようになる。参加者からは、最初は緊張して不安だったが、初めての人とも短時間で信頼関係を作ることができた、楽しかったと感想が寄せられた。
参加者の中には、サクラとして大学生・大学院生8名が高校生の振りをして参加していた。司会者はサクラが参加していたことを明かして、高校生らの許可を得た。高校生からは、大学生が若く見えたので気づかなかったと、会場は笑いが渦巻いて、午前の部を終了した。 「教授とご飯」(12:30~13:30)では、グループの中に教員が1~2名ずつ入って、参加者と昼食を共にした。30分で教員だけがグループを移動して、異なったグループとも話す機会を設けた。参加者は教員や学生達に大学生活や受験などについて率直に質問できたようで、活気のある昼食会になった。
午後は、「聴き上手になる方法」を体験した(13:30~15:30)。二人ペアを組んで、聴き手の人から無視される体験と、頷くだけだが聴いてもらう体験を味わった。10段階で評価して、感想を書いてもらった。相手の話を良く聴くには、話を聴く態度が大切で、視線を合わせたり、椅子に座る姿勢など、言語以外の要素も大事な役割を担っていることに気づくことができた。 次に、言葉を使って話を聴くエクササイズに移った。話し手は10分間話をし、聴き手は質問しないで話を聴く。時間が来たら、聴き手は話の内容をまとめて返した。話した内容をまとめて返されると、分かってもらえた感じになる、考えが整理される、話の内容が発展するなどの効果が実感された。エクササイズごとにペアでシェアリングしてから、全員でシェアリングを行った。ファシリテーターは、聴き上手になるポイントをまとめた用紙を配布して解説した。
最後に、全員が輪になって今日一日の心理教育相談室体験の感想を語り合った。SGEや聴き上手になる方法で気づいたこと、自分や仲間の変化などが率直に語られた。参加者の信頼関係も深まり、和やかな雰囲気の中で体験学習プログラムが終了した。
終わりの会では相談室室長が挨拶して、授与式を執り行った。 「未来博士号」の修了証書を授与された高校生達は、大学院の演習を通して体験した感動と、自信に満ちた笑顔に溢れていた。
アンケート集計によると、参加者は当プログラムに参加してとてもおもしろく(100%)、とてもわかりやすい・わかりやすいプログラムで(100%)、科学に興味がわいた(100%)。この様な企画に是非・できれば参加したい人ばかりで(100%)、参加時期は夏休みの希望が72%だった。参加して心理学を本当に学びたいと思った、進路選択で迷っていたが心理学の面白さが伝わって良かったなど、高校生が心理学や心理教育相談室に強い関心を持ってくれた。翌17日には、信濃毎日新聞北信版に記事が掲載された。
プログラムは、教育学部HP(心理教育相談室)、長野県内高等学校20校、YOZEMI JOURNAL DASH(7月10日)、信濃毎日新聞(8月2日)などでPRした。高校生はパソコンの普及率が高いため、(独)日本学術振興会のHPから知る機会が多いと推測していた。アンケートによると、参加者がこのプログラムを知ったのは、学校の先生が50%で、次いで家族と友達を含めると36%だった。参加者を増やすためには、PRの方法を見直す必要があると思った。
今回はポスターを美術教育専修の大学院生に、SGEや聴き上手になる方法の司会・ファシリテーターを大学院生にチャレンジさせてみた。プログラムは、教員がスーパーヴィジョンを行い、当日参加できなかった大学院生達も手伝った。参加者だけでなく、大学院生やサクラとして参加した学部生にも気づくところが多々あった。学生達の自信に結びついた点も、大きな収穫だった。
学部(心理臨床学専攻)・大学院(臨床心理学専修)・心理教育相談室(臨床心理士養成第1種指定校所属)の教育・研究・援助活動について、高校生や地域住民に伝える機会を、今後も設けて行きたい。
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