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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

首都大学東京

数学を楽しもう!-目で見るパターンと隠れたパターンの数理

整理番号 HT3029

実施担当代表者

倉田 和浩(くらた かずひろ)

理工学研究科・数理情報科学専攻・教授

開催日

平成 19年 8月 10日(金)

開催会場

首都大学東京・理工学研究科・数理情報科学専攻・数理科学教室

住所:東京都八王子市南大沢1-1

関連URL

 http://www.sci.metro-u.ac.jp/math/koho/hirameki07.html 

実施の様子

実施の様子_写真1
 
実施の様子_写真2
 
実施の様子_写真3

昨年に引き続き、数学を楽しんでもらうことを主眼とし、今回『数学を楽しもう!-目で見るパターンと隠れたパターンの数理-』をテーマとして、高校生対象のプログラムを立てました。
結果、高校生はもちろんのこと中学生数名の意欲あふれる参加もあり、純粋に数学が大好きな人、数学に興味を引かれる人が集まり、参加者とサポートしていただいた学部生・大学院生および実施者らが一体となって充実した時間を持つことができました。  まず、学術振興会のKAKENHIは私たちの研究を支える大切な基金であることの説明と本事業の趣旨説明に続き、本学理工学系長の「ときめき」という言葉が大好きで、科学には感動が大切だとの熱のこもった挨拶に始まり、今回のプログラムがスタートしました。  今回は特に、本学の学部生や大学院生8名の協力をもとに、参加者との十分なコミュニケーションを図ることにも配慮し、受け付け時に参加者約20名を4グループ分けして、各グループに2名づつチューターとして入ってもらうことにしました。午前中に一つの講義、昼食を皆で取りながらのコミュニケーション、午後に二つ目の講義、後半は2つの体験実習、クッキータイム・ディスカッションタイムと続き、修了証書授与式で終了しました。講義および体験実習における説明では、各先生が自らの専門分野の立場から今回のテーマに対する思い入れ・考え方を伝えられ、また特に2つ目の曲線や曲面作成の体験実習では、参加者全員にパソコンを渡し、講義で学んだことのデモンストレーション体験や自由に曲線・曲面を自作してもらい、最後には参加者の作成した曲面の作品集の完成で締めくくりました。大学の研究成果の社会還元という観点で、中高生の皆さんに、大学の数学がどのようなことをしているのか、先生方が何を面白がり、研究のテーマとしているのかその一端を分かりやすく紹介したように心がけたつもりです。
第1の講義は『素数の観察』というテーマで始まりました。中学生の参加もあった今回、素数という話題が参加者全員にとって親しみが持てる中で、素数のとらえどころがないような散らばり方の不思議、それにも係らず2つの平方数の和でかけるような素数全体の持つ規則性など、素数の中に潜むいくつかの興味深いパターンの現れを味わえる楽しい講義でした。その中で双子素数が無限個あるか?素数を次々と作りだす関数があるか?など、素朴な問題のように見えても現在も未解決な問題となっている話題があることが取り上げられ、最後にはウラムの不思議な絵模様が紹介され、参加者に強い興味を惹かせる講義でした。講義の中で出された練習問題に昼食を食べながらも夢中になって取り組む参加者が多く、いかに参加者がこの話題に強い興味をもったかがわかります。昼食時には、グループ単位を基本に参加者、学生チューター、実施担当教員らがお弁当を食べながら、自己紹介をはじめわきあいあいとフリートークの時間となりました。

午後になって、第2の講義は、『数理パターンの可視化』というテーマで、曲線や曲面の話と3D-XplorMathという数学ソフトを用いての視覚化の説明がされました。
特に、曲面とそのパラメータ表示という話題は高校でもあまり取り扱わないものなので、少し難しかったかもしれませんが、曲面の中でも極小曲面という興味深い曲面の紹介とそこにはこれもまた少し難しいけれども複素関数とにとても興味深い関係(隠れたパターン)が存在することが述べられました。極小曲面自体は、針金のループに貼られた石鹸膜のなす曲面としても身近に見ているものです。実際に3D-XplorMathを用いてのデモンストレーションによって具体的な曲面のグラフィックスが紹介され、興味をそそりました。
興味深い数学のテーマですが難しい話題をあえて紹介し、しかしながらコンピュータを用いての視覚化によって目で見る面白さを体験できるように配慮されたもので、数学の新たな鑑賞法に驚いた参加者も多かったと思います。実際、あとの体験実習で実際に自分で自由にパラメータ表示した曲面を目で見る喜びを存分に味わった参加者が多かったようです。次に体験実習のコーナーに移りました。最初の体験実習は『フラクタルパターン』というテーマでコンピューターシミュレーション(アニメーション)の実演と体験実習が行われました。  カオスゲームというルールに従って点を平面にプロットしていくと、最初は不規則に分布するだけのように見える点の分布が、点の数を多くしていくと次第に徴的なきれいな(フラクタル)パターンが見えてくるというものです。ルールを変えて出てくるフラクタルパターンの様子の違いについての実演がなされました。参加者にも、どのくらい点をプロットしていけばパターンが見えてくるのか、ルールをどう変えるとどんなパターンが現れるのかなどを、体験してもらいました。あるルールでは、自然界で見られるようなシダ模様がパターンとして現れるという実演には驚いた参加者もあったと思います。2つ目の体験実習は2つ目の講義に連動したもので、『3D-XplorMathの実演と実習』です。参加者全員に本教室の数理教育サーバシムテムを利用し、1人1台のパソコンを用意し、実際に手で触りながらの実習が行われました。最初少し戸惑いもあった参加者もありましたが、徐々に自分の手で曲線や曲面を自由に書いて目で見ることのできる面白さに夢中になっていったようです。思い思いに、自由に曲面の作成に取組み、それぞれの一番の傑作を保存し、全員の作品集としてまとめることができました。用意していた1時間半の実習時間があっと言う間に過ぎて、もっとやりたいという思いの参加者も多かったようです。
ここで全員で集まり、お茶菓子を食べながらの自由なディスカッションタイムとしました。最初の講義で出された練習問題にまだ頑張って取り組く姿勢の参加者も多く、皆で作った作品集も手にしながら、学生、教員とも和やかに感想を述べたり、質問したりという時間となりました。参加者ほぼ全員が参加して楽しかったとの感想を述べるのを聞き実施者としてうれしく思い、また改めて参加者の数学に対する意欲の高さにも感心したりしました。
最後に、理工学系長による修了式(未来博士号の授与)を行いました。参加予定者は26名でしたが、風邪等の理由で6名欠席があり、20名(+1名の保護者)の参加でしたが、とても楽しくできました。
終了後、個別に質問が少し続いたり、参加者や学生との懇談も少し続きました。参加者から、若い学部生や大学院生とのコミュニケーションが取れたことがとてもよかったとの感想もありました。今回、このプログラムの趣旨を理解して高い意識でもって参加していただいた参加者、および保護者の方々とは幸いにも受験のことは忘れて、十分数学の楽しさを講義・対話を通してお互いに堪能することができたということは大変うれしく思います。また、こういう機会をもって、中高校生の皆さんと数学を共に味わい、感動し、語り合えますよう願っています。