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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

東京大学

DNAとRNAでみえる生命の秘密

整理番号 HT3023

実施担当代表者

渡辺雄一郎(わたなべゆういちろう)

東京大学大学院総合文化研究科・教授

開催日

平成 19年 8 月 2 日 (木)

開催会場

東京大学大学院総合文化研究科16号館

住所:東京都目黒区駒場3-8-1

関連URL

 http://bio.c.u-tokyo.ac.jp/2007tokimeki/ 

実施の様子

3人の教授が、それぞれの専門からタンパク質、RNA、DNAについて話題を提供した。生物が遺伝子を発現して生存していくのを支える3分子について、具体的な現象と関係づけて紹介した。
DNAに関して石浦章一教授が、人間の知覚、行動、脳の活動などにも遺伝的な支配があるということを紹介した。遺伝がどのような範囲でわれわれヒトをふくめた生物の生き様に関与しているのかを感じてほしいと願う。
タンパク質に関して、池内昌彦教授が光合成細菌の紹介から、光合成の営みや光に反応する生物の紹介、そこから光を受容するタンパク質の存在を紹介し、タンパク質の働きについて目で見えて実感できるものとして紹介をした。タンパク質の機能の一端を見てもらい、生物は多種多様なタンパク質を持ち合わせていることを知ってほしい。タンパク質によっては色が付くことを知ってもらい、タンパク質は我々の周囲に多種多様に存在していることを紹介した。
RNAに関して渡辺雄一郎教授が、DNA上の情報からタンパク質が翻訳されるまでの流れのなかで、非常に重要な役割をする分子として紹介した。RNAという分子の紹介、機能について、たとえを混じえながら紹介を試みた。そのなかで、若い世代に、タンパク質、RNA、DNAについて親しみをもちながら、生命現象を理解するという最新の生命科学領域の雰囲気を吸ってもらうことを意図した。

 

実施の様子_写真1
     

実習に関して、参加者全員がタンパク質、RNA, DNAに関して触れるということを意図した。
タンパク質については池内昌彦教授が、光をあてると色がかわるタンパク質を材料に、目の前で光をあてて、色の変化を参加者が見るというものである。生活の中で身近となったLEDなども持ち出され、テレビなどで意識する三つの光のイメージと、生物現象のなかでの光の受容という現象との共通性を感じてもらえたら幸いである。
DNAに関しては、日常生活では縁のうすいものであるが、われわれの組織の中にはごく当たり前に存在する身近な分子であること、そして試薬と器具があれば、自分のmy DNAも意外に簡単にとれるのだということを体験してもらった。DNAという分子は重要であることはわかっていても、教科書のうえで文字として知っているだけでなく、簡単に見える形で取れる物質であることは、体感してもらえたと思う。 RNAに関しては、教科書のなかでも、リボソームRNA、伝令RNA、転移RNAとして紹介されているが、やはり身近で、目で見える物質であることを知ってもらうことを意識した。RNAの代表として 酵母の転移RNAを材料にした。われわれが日常、核酸を扱う際に、ルーチンにおこなうエタノール沈殿を経験してもらった。微量の液体などを扱うこと、エタノールを加えること、遠心機をもちいること、核酸が沈殿することなど、実験室での基本操作を一通りやってもらった。最後 RNAが見える形として、持ち帰れる形にした。転移RNAには修飾塩基があるので、褐色がかった色がつくことにも気づいてもらうことも意図した。

次の時代を担うであろう若い生徒に興味深い話題が提供できることを意図した。生命科学のなかでも一番ホットな題材を若い世代に伝えるのは、非常に苦労を要することが、準備段階から予想された。実習も、3人の教員が準備した3つのプログラムを短時間に回るという形で行った。3つのプログラムをこなすということで、スタッフ側も時間内に人数をこなすという制約をかかえ、かなり大変な作業となった。ただ、生徒には研究室で行う作業の一端を味わってもらうことができたと思われる。そして短い時間なりに、全ては無理でも多くのことを感じたり、何がおもしろいのかをしってもらえたと思う。実験作業にはいると、参加者の多くが目を輝かせていたことは、主催者側には大きな支えとなった。
 参加希望者は、主催者側の予定をこえる応募があり、当初の受け入れ人数をかなり超えた。しかし、参加意欲の強いメッセージが多かったこともあり、予定人数をこえる生徒を受け入れることとした。人数が多くなったことで、密度が薄くなった部分がなかったとはいえないが、こちらの思いはかなり伝わったと判断している。
高校の生物の教科書でもRNAについての記述はすくない。一方で、最新の生命科学領域では多様なRNA分子の存在、新たな機能が、21世紀になってから多く見いだされている。今後、日本においてもRNAをキーワードとした生命科学領域の活性化が必須である。こうした最先端の研究を行いながら、一方でこうした若い世代の生徒と、研究の周辺を見せながら紹介することの重要性を、さらに感じた。このように最先端のトピックを、できるだけ早く若い世代に伝え、その魅力をつたえる努力は惜しんではならないであろう。
こうした取り組み、また最新の情報をわかりやすく紹介するイベント開催のみならず、ホームページなどでの紹介も意識して行っていきたい。