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平成19年度「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」事業の一環として,高校生を対象とした「コンピュータを使って人の動きを記録してみよう-伝統芸能の踊りの伝承技術-」を平成19年8月18日(土)に実施しました。19名の参加がありました。
情報工学科の講義室で午前10時から開始し,始めに,「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」事業の説明の後,「舞踊符による伝統芸能の踊りの伝承方法」の演題で講演を行いました。講演では,なぜモーションキャプチャ(MOCAP)を使って,伝統芸能の踊りを記録・保存する研究を始めたのか,どのようにして舞踊符という音楽の音符に似せた方法を思いついたのか,舞踊符の考え方を確認するために舞踊コンポーザや舞踊ジェネレータを開発したこと,開発した技術が踊りを学ぶためのDVD制作に結びついたこと,大きな課題であった精細な指の動きを記録する装置を世界に先がけて開発したことなどを,プロジェクタを使って映像を見てもらいながら紹介しました。
ここで昼休みとり,受講生は4グループに分かれて,スタッフ(教職員,大学院生,卒論生)と一緒に昼食をとりました。初めて顔を合わすもの同士で,最初は少々ぎこちなかったですが,そのうちに打ち解けて学校での生活,どうして参加したのかなど,話がはずみました。 午後は実習です。実習の課題は,MOCAPで体の動きのデータを取得し,そのデータで動くCGを作成する内容です。MOCAPのセンサは通常体に15個付けますが,参加者全員のデータをとるために,時間の関係で両手と胴の3点としました。3点のデータで動くCGのキャラクタとしては,「秋田わか杉国体」のマスコットキャラクタで,秋田県内だけでなく全国的にも有名になった「スギッチ」(テレビ東京の娯楽番組「TVチャンピオン」の「ゆるキャラ日本一決定戦」で、「ゆるキャラ日本一」にも認定されました)を用いました。体つきからして,3点のデータで動かすにふさわしいと思ったからです。スギッチをどんな風に動かそうかと思いをはせながら,手を上げたり下げたり,回転したり,とび跳ねたり,みんな,思い思いに動いていました。想像したようにスギッチは動いてくれるでしょうか。30秒ほどの動きのデータはUSBメモリに保存しました。
全員の動きのデータをとったあと,CGを作成するためにコンピュータ実習室に移りました。ここは情報工学科の学生がプログラミング実習をする教室で,64台の実習用パソコン,32台の教材提示用パソコン,2台の教師用パソコンの計98台ものパソコンがあります。受講生の皆さんは,その設備にまずは圧倒されたようでした。
CGの作成には,blenderというソフトウェアを使いました。スギッチは卒論の学生が前もって作成したものを用意しました。まず,スギッチをUSBメモリから読み込み,移動,回転,拡大縮小したりなど,blenderの基本的な使い方を勉強しました。次に,MOCAPでとった動きのデータをUSBメモリから読み込んで,センサの位置が時間の経過とともに動く様子をみてもらいました。そして,いよいよスギッチの手と胴をセンサの位置と関連付ける作業です。スギッチは3次元の物体なので,移動,回転,拡大縮小しながら,関連付けを行っていきます。受講生ははじめての経験なので,悪戦苦闘していました。大学院生に助けてもらいながら,何とか全員,関連付けを完了しました。動作開始の指示を与えると,スギッチがMOCAPでとった自分の動きに従って動いてくれます。ここで,感動の声が。
最後は,レンダリングです。光を当てて,影を付けていきます。この処理には30分程度の時間がかかりますので,処理はコンピュータに任せて,しばし休憩。講義室に戻って,クッキータイムとしました。受講生とスタッフが,CG作成作業の難しさ,面白さ,スギッチが動いたときの感動を話し合っていました。
30分経過し,レンダリング処理が終了しました。出来上がったCGをUSBメモリにコピーし,講義室で作品の発表会を行いました。各自の作品をプロジェクタでスクリーンに映し,最後に感想を発表してもらいました。もとは同じキャラクタなのに,自分が動いたようにスギッチが動き,従って,作品毎に違った動きをすることに,わずか30秒の動きでしたが,感動したようでした。
ゲームやアニメなどでCGをよく見ているがCGの作成がこんなにも大変な作業なのか,人の動きを記録するために使えば伝統芸能の踊りの伝承に使えるのだ,古いものと新しいものが結びついて面白いことができるのだということを感じ取ってもらえたと思っています。
最後に,受講生全員に,修了証明書(未来博士号)を授与し,記念撮影を行って散会しました。当日の様子は,地元民放(秋田放送)のニュースで紹介され,また,全国紙(朝日新聞)の秋田版に掲載されました。
研究成果の一端を高校生に紹介することははじめての経験で,どうすれば興味を持ってもらえるか,どうすれば研究の本質をわかってもらえるかを考えながら準備しましたが,実施してみるまでは不安でした。しかし,アンケート結果から,はじめてCG作成の経験したことへの驚きの気持ちが感じられ,実施してよかったと,このような機会を与えていただいた日本学術振興会に感謝する次第です。
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