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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

高知大学

日本語と英語、ことばを通してみる世界像

整理番号 HT281

実施担当代表者

川崎 謙(かわさき けん)

教育学部・教授

開催日

平成 18年 12月 16日(土曜日)

開催会場

共通教育115番教室

住所:高知市曙町2-1-5

実施の様子

 参加者には、最初に"Study Nature, Not Books"という英文の日本語訳を試みてもらいました。これは、科学教育学の分野では世界的に有名な標語です。英語"Nature"は"Study"の目的語なのです。この標語は、果たして「自然に学べ、本にではなく」と同じなのでしょうか?

実施の様子_写真1

 上の写真は、この問題―文化的共役不可能性の問題といいます―を「連語(=Collocation)」の問題として捉え、理解を深めようとしているところです。スクリーンの一番上には、「英語にもある連語」の文字が認められます。

 私たちの母語である日本語にも、もちろん「連語(=Collocation)」という言語現象があります。例えば、「ヨむ」という「動詞」はその目的語に対応して相応しい動詞を選びます。本は読(ヨ)むもの、短歌は読(ヨ)むもの、般若心経は誦(ヨ)むものです。動詞と目的語は、お互いに選びかつ選ばれ、ある特定の意味を伝えるのです。
 先の英語の標語"Study Nature, Not Books"を実際に日本語訳してもらった結果は、「自然を学べ」であったり「自然に学べ」であったりしました。これら二つの日本語は、同じなのでしょうか、それとも違うのでしょうか。
 この違いを、「アメリカに学べ」と「アメリカを学べ」の違いとして皆で考えて見ました。最初の「アメリカに学べ」は、「アメリカをお手本としてさまざまなことを見習う」という意味になります。他方、「アメリカを学べ」なら、それは「アメリカの地理や歴史を学ぶ」という意味になります。こうした違いを確認して、「自然を学べ」と「自然に学べ」の違いへの理解を深めました。
 この相違に対する理解を基に、英語と日本語の世界観の違いを学習しました。英語の世界観は特に重要です。なぜなら、この世界観こそ西欧自然科学が基づいている世界観だからです。この世界観が聖書(創世記)に明記されていることを学習し、同じ世界観がM.エンデの傑作ファンタジー『はてしない物語』にも大変効果的に取り入れられていることも学習しました。主人公のバスティアンの「ことば」によって「創造主」の見業である世界の「創造」が行われるのです。
 これは、なんとも不思議な、私たちには分からない世界の見方です。このような世界観は、「私たちには分からないのだ」ということをまず確認しておかなければなりません。この「分からない」という確認は、物事を分かるためには非常に重要です。なぜなら、ある物事を分かるためには、「これは私には分かっていない」という確認が必要だからです。もし「このことは分かっている」と理解(=誤解)している人は、分かろうとする努力をしないからです。
 当日の参加者たちは、西欧自然科学が基づいている世界観は「分からない」ということを分かって、この授業が終了しました。参加者たちは、「とても為になる話を聞けたきがします!」、「英語を通して自然科学が分かって勉強になりました」とか「自分は一体誰なのか、なぜ朝起きて、今生きているのかそれを考えるのが哲学であり、今日はそそのことについて講演を受けとても勉強になった」といった感想を残してくれました。下の写真は、「終了証(未来博士号)」の授与の模様です。

実施の様子_写真2