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県内外から61名の中高生らが参加し、生物圏科学研究科(生物生産学部)の長沼毅助教授と理学研究科(理学部)の狩野彰宏助教授による演示や講演、フリーディスカッションなど行った。その内容を時間経過に沿って以下に報告する:
09 : 30 受付開始・開場。まだ薄日が射しているが雨天前の肌寒い朝である。日曜の朝にもかかわらず、午前9時過ぎには県外からの来場者あり、その熱意に打たれた。
10 : 00~10 : 30 長沼から挨拶、趣旨説明(科研費の説明を含む)、オリエンテーション(一日の説明)およびスタッフ(講師、担当事務職員、学生アシスタント)の紹介を行った。
10 : 30~11 : 30 上記に引き続き、長沼による講演「私たちが挑戦するフロンティア・深海」を行った。ここでは「深海という極限環境」の特徴を参加者に実感してもらうため、申込用紙に事前に記されていた「深海の圧力」に関する質問を切り口にして、われわれで考案した演示を行った。まず、圧力については、隣接する生物生産学部A棟8階から会場までホースを這わせ、そこに水を通して比高ちょうど20 mの静水圧(2気圧)をつくった。普段はまったく気にならない大気圧(1気圧)と比べて、たったの2気圧、しかし、この水圧でも十分に強い力であることを実感させた上で、深海の数百気圧の過酷さに思いを馳せることを促した。その後、海中の光環境に話題を移し、深く潜るほど暗くなるだけでなく、色彩も失われ青一色になることを講義した。ここでは、海中のhide-and-seek(隠れん坊)について、青や赤の世界では何色の衣類のスタッフが見えやすい・見えにくいかを演示した。さらに、深海の低温について講義し、異なる水温(ひいては密度)の水は混合しにくいことを、色付けした温水・冷水・塩水などを用いて演示した。これは、狩野による午後最初の講演において、「深海サンゴが特定の水深に生息する謎」を解く鍵としても言及された。
13 : 00~14 : 00 二階の会場に戻り、狩野による講演「深海底を掘って過去の生命を探ろう」を行った。ここで日本が主導する国際プロジェクト「統合国際深海掘削計画」(IODP)に言及し、その主要参加機関である広島大学の活動が紹介された。そして、狩野らによる深海サンゴの調査研究例が紹介され、深海には未知の生物や現象がまだたくさん残っていることが協調された。また、狩野の研究試料である様々な化石の実物を持ち込み、この後の休憩時間に参加者に直接手を触れて観察してもらった。
14 : 00~14 : 15 憩を取り、その間、隣接するロビーにおいて化石の実物を手にとって観察した。
14 : 15~15 : 15 長沼による講演「深海生物にさぐる生命の神秘」を行った。ここでは「謎の深海生物チューブワーム」の生態を切り口に、地球生物の多様性と生存の仕組みを説明し、宇宙生命の可能性にも言及して参加者の想像力を刺激することを期した。
15 : 15~15 : 45 昼食と同じ部屋へ移動し、クッキータイムとした。この間、参加者には小アンケートに回答(質問)してもらい、記入済みのアンケート用紙を回収した。記入された質問には、この後のフリーディスカッションで答えることとした。
15 : 45~16 : 45 まず、参加者からの質問に答える形でフリーディスカッションを開始した。質問には深海生物の特殊な適応力に関すること、深海サンゴの生態に関すること、深海調査における技術開発に関することなどが含まれていた。さらに、宇宙生命に関する質問もあったので、当初予定していたディスカッション・テーマ「深海生物って、もしかしたら宇宙にもいる?」 について意見交換を行った。最後に、深海そして宇宙という人類のフロンティアに向かって参加者が果敢に挑戦することを期待し、その挑戦への入り口として「広島大学は君たちを待っています」と伝えた。
16 : 45~17 : 00 修了式を行い、長沼と狩野から参加者一人々々に「未来博士号」証書を授与した。
17 : 00 帰路の安全をお願いした上で解散し、未回収のアンケート用紙については後日郵送してもらうこととした。
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