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プログラム実施の様子を当日の時間にそって説明します。
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| 植物の葉が持つ温度低下効果を熱画像で確認する. |
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| サツマイモの葉、湿った濾紙で作ったサツマイモの模擬葉、乾いた銅板の温熱画像の比較.明るいところほど温度が高いことを示す. |
受付 当日は朝から快晴、気温が上昇し、都市の高温化を防ぐ植物の効果を確かめる本プログラムには最適の天候でした。9時30分から受付を始め、当日の講義用冊子その他資料と名札を配布し、会場の大講義室へ参加者を案内しました。予定者38名全員が参加しました。参加者の内訳は、高校生36名、中学生1名およびその保護者1名でした。
開会 プログラムの開始に先立って、緑地環境科学科の学科主任増田昇教授から、歓迎の挨拶があり、大阪府立大学および緑地環境科学科の紹介が学部案内パンフレットを用いて行われました。引き続いて、実施担当代表者から、「実際の大学の研究を体験して研究に興味をもって欲しい」とプログラムの目的説明と「安全のための注意事項、とくに熱中症対策について」のお願いが行われました。また、科学研究費補助金についての説明が行われました。 ついで、教員スタッフと学生スタッフの紹介が行われました。参加者には、本プログラムの実施上の事項はもちろんのこと、学生スタッフは、参加者と比較的年齢が近いので、大学および大学での学習・研究生活についても、幅広く質問して積極的に交流してくださいとの案内がありました。 さらに、実験実習を行うグループとしてA,B,Cへの班分けが行われました。
講演 都市の環境改善に果たす緑の役割について、3名の研究者から専門分野に関してスライドを用いて講演が行われました(各20分)。
- 植物はどのようにして温度を低減するか 北宅善昭先生
堺市役所屋上から見た熱画像を示しながら建築物が集積した地域は48℃、対して古墳の樹林は31~32℃であることなど、都市の高温下の実状について紹介がありました。次に、熱画像測定装置を用いて、サツマイモの葉、乾いた銅板、湿らせた濾紙に熱を照射した時の温度上昇を実際に観察しました。熱画像の銅板の部分はすぐに温度が高いことを示す赤色に変化するのに、サツマイモの葉や湿った濾紙では、温度の上昇が緩やかであることから、水の存在が温度上昇を防ぐことが確かめられました。さらに、水の気化と液化について水の分子状態変化を解説し、水の存在と気化がサツマイモの葉や湿った濾紙で温度が上昇しなかった原理であると説明されました。
- 屋上の緑を利用する生物 平井規央先生
大学校舎の屋上に設置した水域や園芸植物、作物を利用する生物について紹介がありました。水だけを入れた場合でも時間の経過とともに植物プランクトンや藻類が発生し、続いてミジンコなどの動物プランクトンや、ユスリカ類の幼虫が現れます。これらの小動物が定着すると、それらを餌とする肉食の水生昆虫が現れます。とくに植生としてヨシを入れた水域では、シオカラトンボ、アオモンイトトンボなどの幼虫(ヤゴ)が確認され成虫が羽化しました。水だけを入れた水域でもウスバキトンボのヤゴが確認されました。屋上に設置した植物の花にはチョウ類を主として多くの昆虫が訪れます。屋上を緑化したことにより、40種以上の昆虫類がやってきました。このうち17種については、幼虫が見つかっていることから、繁殖の場として利用されていることがわかりました。
- 植物を用いた安らぎのある風景 下村泰彦先生
“みどり”の風景づくりについて紹介がありました。“みどり”は樹木だけでなく樹林地や公園緑地、農地や里山などの場所に加え、緑化活動など広い意味を含んでいます。緑の役割は大変広く、植栽の役割には、生態系・植生、大気浄化、気象調節、防風・防塵、防災、防音・遮光など環境機能、景観における視線の見通し、視線をひきつけるためのアイストップ、その場所を見定める目印であるランドマークなど指標機能、緑陰や栽培・鑑賞などレクリエーション機能などがあります。また、大阪の“みどり”の現状、緑地減少の歴史や過去および現在の緑地計画について説明があり、これからの緑づくり考え方のキーワードとして、安全安心まちづくり、バリアフリー、環境保全効果、景観づくりから風景づくりのキーワードが提案されました。
- 講演に対する質問と感想
講演に対して質問を受け付けましたが、参加者から手はあがりませんでした。緑と環境づくりの領域の広さと深さに感銘を受け、研究に興味を引かれたように見受けられました。
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| 屋上に設置した水面で生活する小動物の観察.トンボ類の幼虫、アメンボ類、ハイイロゲンゴロウ、チビゲンゴロウなど. |
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| 屋上のパセリで育つキアゲハの幼虫. |
昼食 会議室にテーブルを配置して大学の生協より弁当をとりよせ、参加者、教員スタッフ、学生スタッフともども、懇談しつつ昼食をとりました。昼食後は自由時間として、この間に大学キャンパスの見学について案内したが、それぞれのテーブルで話しがはずみ多くの参加者が昼食会場で懇談していました。
屋上緑化実験現場の見学 炎天対策を再度周知した後、大学校舎屋上に出て、実験用に設置した気象・環境測器、生物調査のための水域、微気象緩和効果測定用の芝生と液耕によるサツマイモ栽培装置、訪花昆虫調査用の園芸植物植栽の見学と解説を行いました。 緑化に関わる放射、熱等の環境測定 研究者が部品等を集て組み上げた日射量測定記システムについて説明し、装置からの日射量データ吸い上げとパソコンへの表示を見学しました。また、熱画像測定装置で、屋上の植物やコンクリート部分の温度の違いを確かめてみました。 参加者がA,B,Cの三グループに分かれて、屋上に設置したサツマイモの葉面、芝生、水面、屋上コンクリート面、屋上に張られた銀色シートなど各種地被表面の微気象要素の測定を行いました。表面温度は非接触放射温度計で、また表面から高さ15cmの気温を温度計で測定しました。さらに、それそれの表面からの日射の反射率を測定しました。この測定には、センサーと電気テスターを組み合わせた手作りの日射計を用いました。測定機器を手作りすることで、高額な出来合いの測定装置とほぼ同様の装置が数千円で出来ることを説明しました。
データ処理、実験結果のディスカッション 情報処理室へ移動し、各グループが測定したデータの統計処理を行いました。各参加者が、測定したデータをパソコンに入力し、表計算ソフトを用いて平均値を計算し、表や図にまとめました。地被面の表面温度は、コンクリートが最も高く51.1℃、植物は芝生が38.5℃、サツマイモが31.6℃、水面が35.5℃でした。それぞれの地被での気温は、コンクリート41.3 ℃、サツマイモ37.2℃、芝生37.8℃、池の水面35.7℃でした。表面温度と高さ15cmの気温はともに水分が存在するところでは低いことを確認しました。
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| 当日の測定結果 ―地被の種類による表面温度と気温のちがい― |
ティーブレーク 交流会 大会議室へ戻って、飲物とケーキをとりながら懇談しました。別の高校からの参加者同士もうち解けて、話がはずんでいました。また大学生に大学生活について質問している参加者もたくさんいたようです。またこの場でアンケートを回収し感想文の提出についてお願いしました。
修了式 参加者それぞれに、実施担当者代表から未来博士号の賞状を授与しました。38名全員が最後まで参加し修了しました。
解散終了 予定時刻の午後4時に全ての行事を無事に終えて解散しました。
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