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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

富山大学

レーザーで原子・分子の世界を探ろう!

整理番号 HT239

実施担当代表者

森脇 喜紀 (もりわき よしき)

理学部・助教授

開催日

平成 18年 10月 7日 (土)

開催会場

富山大学理学部

住所:富山市五福3190

関連URL

http://www.sci.u-toyama.ac.jp/phys/

実施の様子

 低気圧の通過に伴う悪天にもかかわらず、ほぼ全ての参加申込者が開催時刻までに集合した。参加者の内訳は、中学生23名の他、高校生3名、小学生2名、教諭1名、保護者2名で、合計31名であった。会場として、富山大学総合研究棟3Fのクリエーションルームと、実験室を用いた。クリエーションルームは、総ガラス張りの開放的な空間で、40人程度が収まるのにちょうどよい広さであり、ガイダンス、講演を行った他、休憩、歓談、飲食用のスペースとした。体験実験はそのむかいにある実験室で行った。

 歓迎の挨拶に続き、KAKENHIとはいったい何なのかを説明した後、早速松島房和教授による講演「テラヘルツで見る分子の世界-実験室から宇宙へ-」を開始した。

 講演では、対象が中学生であることを考慮して、

  • 光や電磁波が波であることの理解
  • テラヘルツとは何か
  • 原子や分子とはどのようなものか
  • 分子が光や電磁波を吸ったり吐いたりする

ということを出来るだけかみ砕いて説明しながら、富山大学で保有している世界で唯一精密測定できるテラヘルツの電波源がどのように作られたのか、この装置を用いた分子の測定により、宇宙空間にどのような分子がどのような姿で、どんな場所にあるのかを研究する礎が作られるのだということ、また実際にこれまでに宇宙空間でどんな分子が見つかっているのかについて講演した。講演後の質疑では、「宇宙空間にはなにもないのかと思っていたが、いろいろな分子があることに驚いた」といった感想や、「宇宙が全くの真空でないとするとどれくらいの分子があるのか」などの質問があった。中学生対象としては講演内容が少し難しかったかもしれないが、対象が宇宙ということもあり、熱心に講演に聴き入っているのが印象的であった。

 講演の後はいよいよ体験実験の時間である。全体を15名程度の2グループに分け、グループ毎で「光」の実験、「磁石と低温」の実験を1時間ずつ入れ替わって実施した。これらの実験は、科研費による研究に関連があり、かつ中学生達にも驚きや面白さを体験してもらえるテーマを選んで実施した 「光」の実験では、目に見える光(可視光)と見えない光(たとえば紫外光)を、まず紫外線に反応して着色するビーズを用いて体験してもらった。紫外線ランプや、外光(当日は日差しは無かった)によってビーズの色が変わる様子を、ビーズ遊びを通して調べてもらった。次に、回折格子で白色光をのぞき込むことで、光の3原色を見てもらった。白色LEDからの光が、虹色に分かれる様子に感嘆の声があがった。また、赤緑青色のLED光とも比較した。さらに、金色をした金箔を透かすとどのような色が見えるのかを予想してもらった。様々な予想がでてきたが、百聞は一見にしかずで、実際に覗いてもらった。ここでも驚きの声があがった。金色に反射して見えている色の補色が透けて見えていることを説明した。 引き続き、レーザー光を用いた体験実験に移行した。短いビデオを用いてレーザーアブレーションについて学んでもらった(アニメなどのキャラクターを利用することは生徒達を引きつけるのには有効だった)。次に、光の速さを測定する実験を行った。レーザーパルスを2つに分け、一方を遠回りさせて遅延させ、その2つのパルスの時間差を測るというものである。生徒達の手で遅延の長さを自由に変えさせ、時間差がどう変わるか調べてもらった。遅延の長さと時間差を計り、光の速さが毎秒3億mほどであることを計算した。その次に、光の速さが水の中ではどうなるのかという問題を出してみた。答を知っている生徒もいたが、実際に光を水の中に通し、水の有り無しで光の速さがどうかわるかを目の当たりに見てもらった。光に関する実験の最後は、光の回折、干渉性に関するもので、ホログラムを用いて行った。まず、格子間隔の異なる2種類の回折格子で光の曲がり方が異なることを確かめてもらった。フレネルホログラムを自然光のもとでみると、回折格子と同様の虹色が見えるだけである。これにミニカーが写っているといわれても誰も信じない。このホログラムにレーザー光を当てて、生徒1人1人に見てもらった。本物のミニカーそっくりに見えることを、生徒達は体の位置を変えて面白そうに確認していた。これらは、HeNeレーザーを用いて作成したものであるが、赤色LEDを用いてもある程度像を再現することが出来る。パソコンの光学マウスのLEDが利用できるので、何種類かのホログラムを持ち帰り学校や家庭で鑑賞してもらうことにした。

 磁石と低温の実験では、まず超強力磁石(ネオマックス)でどれほどのクリップをつり下げることが出来るかを調べることで、その磁力の強さを体験してもらった。次に、鉛直においた銅パイプ中をこの磁石が落下していく様子を横からあるいは真上から観察してもらった。電磁誘導によりゆらゆらとゆっくり落ちていく様子に生徒達は驚嘆していた。銅パイプを液体窒素で冷却して、その中にふたたび磁石を落とすとどう変わるか?を実際にやってもらい、落下速度がさらに遅くなることを体感してもらった。
 次に、超伝導ジェットコースターを体験してもらった。磁石を競技場のトラック状に並べ立てたレールに、超伝導物質(酸化物超伝導体)をしっかり押さえ付けると、超伝導物質が少し浮き上がる。これを生徒に勢いよくはじきとばしてもらった。すると、超伝導物質はレールに沿って上部では宙返りした状態でレールを1周する。超伝導物質がレールに着かず離れず抵抗なしに自由に動く様子は、生徒達に印象的であった様子で、実験時間終了後何人かの生徒は何度も繰り返し試していた。最後に、液体ヘリウムをもちいたカピッツァのクモの実験を行った。これは、光を当てることにより液体ヘリウムが細管から吹き出し、クモの足のような形をしたガラス細工が回転するというものである。これは国内では唯一富山大学で体験できる実験であり、生徒達は光を当てるだけで回転するようすに驚嘆していた。

実施の様子_写真2
 
実施の様子_写真3
 
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 体験実験に予定よりも多くの時間を費やしたため、クッキータイムでの懇談は省きアンケートへの回答時間とし、それに引き続いて修了式を行った。修了式では、参加者生徒全員に未来博士号を授与するとともに、感想発表をしてもらった。生徒からは、「実験が楽しかった」、「どうしてそうなるのか不思議に思った」、あるいは「またこのような機会があれば再度参加したい」といった感想が、生き生きと発表された。また、紫外線ビーズ、回折格子、金箔、ホログラム、超強力磁石など実験で用いたものは、家庭や学校へ持ち帰ってもらい、生徒たちに自由に遊んでもらうことにした。