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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

東京慈恵会医科大学

動物の発生を観てみよう —遺伝子の働きと動物のからだ作り—

整理番号 HT227

実施担当代表者

岡部 正隆(おかべ まさたか)

医学部・講師

開催日

平成 18年 8月 22日(火)

開催会場

東京慈恵会医科大学 大学1号館6階講堂および6階実習室

住所:105-8461 東京都港区西新橋3-25-8

実施の様子

 本プログラムでは動物の発生と遺伝子の関係を理解するために、生きたニワトリの胚(胎児)を顕微鏡で観察したり、働く遺伝子を染め出したりしました。講演では、遺伝子のオンオフの調節が発生中に異なる種類の細胞を生む鍵となっていること、またその調節が変わると異なる形の動物ができることを学び、実験での体験とあわせて、遺伝子と発生の関係を理解できるように心がけました。

 当日は26名の中学生高校生が参加し、その他に研究者、医師、技術員、事務員等、24人のスタッフがサポートを行いました。午前9時30分からプログラムが始まり、一日のスケジュールと科研費(KAKENHI)の説明をしました。その後、すぐに実験室において「ニワトリの胚発生の観察」が始まりました。 参加者2名に対して1台の実体顕微鏡が与えられ、ふ卵3日目と2日目のニワトリの有精卵が配られました。参加者は各自で卵の殻の一部をハサミで切り取り、覗き穴を作って中にいる生きた胚を観察しました。拍動する心臓や、すでに形が明らかな目や脳、できかけの手足やアゴなどが観えました。その後、より小さな2日胚を観察しましたが、2日胚は小さく薄い細胞の層からなり観察しにくいため、墨汁を注射器で胚下に注入して観察しました。2つの日齢の異なる胚を比較して、参加者には胚発生のスピード、胚のかたちの複雑さを実感してもらいました。

 11時からは岡部先生による講演「動物のかたち作りと遺伝子」がありました。受精卵は細胞分裂して大きくなりますが、それぞれの細胞分裂によって生まれる2つの娘細胞が異なる特徴を持つように、例えば神経や筋肉など異なる細胞にならないと、胚(胎児)にはなれません。異なる特徴とは働く遺伝子の違いによって作られます。講演の中では、特定の遺伝子が働く機構(遺伝子のスイッチのオンオフ調節)や、その過程を理解するためのDNA、 mRNA、タンパク質の関係(セントラルドグマ)、そして、それぞれの物質が存在する細胞内の位置や合成される場として細胞内小器官などを学びました。さらに、胚を構成する様々な細胞で異なる遺伝子が使われていることを実際に目で確かめるためには、特定の遺伝子のmRNAを染め出せばよいということをお話しました。これに関しては午後実験を行いました。

 3人の参加者に1人の研究者・医師が担当したフリートークを昼食中に行った後、午後は実験「遺伝子を観てみよう」を行いました。これは午前中の講演の中で説明した、特定の遺伝子のmRNAを染め出す実験です。ニワトリ3日胚におけるMsx遺伝子とFgf8遺伝子のmRNAを染め出す実験を通じて、特定の遺伝子が働いている細胞は胚内に一様に分布しているわけではなく、特定の位置の限られた細胞であること、そしてそのことが動物の形を決めていることを学びます。今回は限られた時間の中で実験を行うため、あらかじめスタッフが実験を途中まで進めておいたニワトリ胚を参加者全員に配り、最後の発色のステップを各自に実験してもらいました。

 発色には約1時間かかりますので、この間に大学の研究施設を見学してもらいました。見学では、電子顕微鏡による細胞内小器官の観察や、電気泳動されたDNA、培養細胞の顕微鏡観察、遺伝子組換え技術により緑色に蛍光を発するようになったショウジョウバエの観察、DNAの塩基配列を決定するロボットなどを見学し、午前中の講演の内容を復習してもらいました。

 施設見学終了後は、再び実験室に戻り、胚上に青紫色に染色された遺伝子を観察しました。Msx遺伝子もFgf8遺伝子も発生中の前足と後足で働いていることがわかりました。ここで他の動物のMsx遺伝子の発現パターンをスクリーンに映し出し、遺伝子が働く場所が違うとできあがりのからだの形が違ってくることを説明しました。一日の講演と実験で、遺伝子の働きと動物のかたち作りの関係がわかってもらえたのではないかと思います。

 実験終了後、午後3時過ぎからお菓子を食べながら研究者・医師とフリートークをしました。後半、全員参加の質問コーナーをしました。実験を通しての疑問や、遺伝子・ゲノム研究に関する質問がたくさん出ました。修了式では参加者全員に「未来博士号」が授与され、午後4時半頃、プログラムは盛況に終了しました。