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第一時間目は、ことばの世界へのいざないを目的とした講義でした。 ことばが人間だけに与えられた宝物であること、ことばを身につけるためには生まれてからの一定期間にことばに触れなくてはならないこと、ことばの世界は脳と関連があること、などについて、ビデオを交えて、解説しました。
10分間の休憩のあとは、ことばの世界に少し踏み入って、実体験を積んでもらうことを目的とした第二時間目です。 「ぼくと手をつないでいるポチとミケ」などの日本語の表現を使って、ことばの仕組みの神秘が「ことばの山を連ねる」ことに隠されていることを理解してもらいました。 また、「まんじゅう温泉」など、実際には存在しない、新たな表現にどのような解釈を与えることができるかを考えてもらい、その結果を絵に描いてもらいました。 絵をみんなで見せ合いましたが、楽しい作品がたくさん集まりました。
昼休みは、生徒たち、保護者の方々、ゲストの方々、大津研究室の院生やゼミ生、みんなでおむすびを食べました。 楽しい話し合いの輪があちこちにできました。
第三時間目は、ことばの世界の性質を探るための作業を本格的に体験してもらいました。 「一」は「台」や「枚」の前に置かれると「いち」と読みますが、「本」や「冊」の前に置かれると「いっ」と読みます。 では、どういうときに、「いち」と読み、どういうときに「いっ」と読むのか、その区別の仕方を探ってもらいました。
作業はグループにわかれ、院生やゼミ生も加わって、にぎやかに行われました。 途中結果を報告してもらいながら作業を進めていき、最後はきちんとした結論にたどりつくことができました。
この作業は、考えようとする問題に関連すると思われる資料を集めること、その資料を見つめることによって、説明すべき事実をはっきりとさせること、その事実を説明する仮説を構築すること、その仮説が事実について予測するところが、実際の事実とあっているかを照合すること、照合の結果によっては仮説を修正したり、廃棄したりする必要があることなどを含むもので、その過程は物理や化学などで使われているのと同じ方法によるものです。
つまり、ことばの世界の解明は「ことばを科学する」ことにほかなりません。 また、ことばの世界の解明を試みることによって、科学の方法を実体験することができます(「ことばで科学する」)。
「ことば」と「科学」という、一見、意外な取り合わせのように思われる2つが実はとても相性がよいということを参加した中学生に理解して欲しかったのです。
短いまとめの話をしたあと、参加者全員に「未来博士号」の証書が授与され、講師は参加者一人一人と固い握手を交わしました。
中学生の持つ知的エネルギーのすばらしさに触れ、担当した講師だけでなく、院生やゼミ生、スタッフにとっても、学ぶことの多い一日でした。
なお、文章は大津研究室ホームページから転載、一部加筆 http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/takita/hiramekitokimekisyuuryou.htm
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