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ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
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プログラムの実施の様子

電気通信大学

聞こえない音(超音波)のふしぎ

整理番号 HT220

実施担当代表者

鎌倉 友男(かまくら ともお)

電子工学科・教授

開催日

平成 18年 8月 5,12日(土)

開催会場

電気通信大学 東6号館803

住所: 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1

実施の様子

 音波に「超」の接頭語が付くからには、ふつうの音波と何か異なったおもしろい現象があるに違いない。そのような疑問に答えるために、また広く科学・工学のおもしろさを味わってもらうために、本科学体験では、簡単な実験やビデオを通して超音波に関連する現象と応用を紹介しました。 次のスケジュールに従って、2日間行いました。

● 第 1 日(平成 18 年 8 月 5 日(土))

午前: 受付、開場に引き続き、「超音波とは」というタイトルで、超音波の性質や特徴、応用について説明しました。特に、聴覚の性質として、簡単な実験を通して、聞こえる振動数(周波数)を体験しました。そして、指導員の先生方や大学院生に比べて、参加した若いみなさんはおよそ 17~18 kHz (17,000~18,000 Hz)の高い振動数までは聞こえること、また20 kHz以上の振動数の音はほとんど聞こえず(感じない)、これが超音波であること実感しました。引き続き、「キャンパスツアー、その1」として、音の反射のない特殊な部屋の無響室を見学しました。グラスウールを針金の枠と薄い布で作った楔状の型の中に入れ、とがったほうを部屋の内面の方向にしてに、床、壁、天井に隙間なく多数設置した無響室では、音の反射がほとんどなく、聴覚的には壁・床・天井などあらゆる物体が自分の周囲にない状態となるので、ふつうとは異なった音環境になり、一瞬、違和感を感じていました。

午後: 昼食後、コウモリを例にとって、「動物と超音波」というお話がありました。町中では、メガネの洗浄器に超音波が利用されています。ある種の動物、特にコウモリやイルカなどは超音波をコミュニケーションや餌の獲得の手段として積極的に利用しています。このような動物の機能をバイオセンシングといいますが、このバイオセンシングの特徴と応用の説明がありました。引き続き、「ロボットにおける超音波の役割、その一」として、ロボットのアシモを例にとって、超音波の応用例がビデオを通して、詳しく、そしてやさしい説明がありました。ロボット自体の動きで騒音が生じ、その騒音がロボットと人のコミュニケーションの妨げになっていること、このようなときに、超音波を利用した指向性の強いスピーカを利用すると、人・ロボットの豊かなコミュニケーションが可能になる、との興味深い話を聞くことができました。第1日目の最後に、「キャンパスツアー、その2」として電気通信大学の歴史資料館を見学しました。電気通信大学の生い立ちは、無線・通信の教育と研究にあり、よって無線通信に関連する貴重な機器と資料が残っています。それらを展示した資料館は、過去から現在までの通信に関する歴史が学べるところです。

無響室の中 先生の説明を熱心に聞いています
無響室の中(音の反射がほとんどなく、日常と異なった音環境になっています) 先生の説明を熱心に聞いています

● 第 2 日(平成 18 年 8 月 12 日(土))

午前: 二日目の最初は、「超音波を用いた素材の新評価法」として、光から音が出る現象を利用した新素材の評価について、説明がありました。超音波と光は何ら関係がないようですが、われわれが生きていく上で必要不可欠な情報媒体になります。物理的には全く異なる波動ですが、実はふしぎなことに、光から音が発生する体験をしました。この現象を利用することで、材料の物理的な評価が可能であるとの事実を理解しました。つぎに、「超音波を利用した新しいスピーカ」、音のスポットライトを体験しました。このスピーカは、日常よく見かけるスピーカに比べて格段に指向性が鋭く、またあたかも頭の中で音が発生しているような雰囲気を体験しました。

午後: 続いて、「超音波による発光現象」、音から光が出る現象の紹介がありました。これは先の「超 音波を用いた素材の新評価法」とは逆の現象で、特に水を代表とする液体の中の微小なバブル(気泡)が超音波の強さに応じて大きく振動し、それによってバブル内の温度が一時的に数千度から数万度と極めて高くなり、音の大小によってバブルが瞬間的に発光するというものです。光は弱いこともあって、暗いところで観測が行われましたが、光が見えたときには歓声が出ました。二日目の最後の研究紹介は、「ロボットロボットにおける超音波の役割、その2」として、しんかい6500を例にとって、超音波の役割を知りました。日本は四方を海に囲まれており、新しいエネルギー源や海底埋設物の探査には超音波に頼らざるを得ないことを理解しました。海中や海底にはまだ未知のことが多く残され、それを解明するためには超音波も利用した水中ロボットが大いに役に立っているとの話があり、宇宙とは異なった空間であることを知りました。

 以上の体験学習を終えるにあたって、最後に、質問コーナーを設けました。それに先立ち、18名の 最終参加者に対する修了式を行い、参加者ひとり一人に修了証書が渡されました。その後に、指導者 全員と、今回の科学体験学習についての懇談会を開きました。この体験学習を開く前に事前にもらっていた超音波や科学、音響一般についての質問に回答することから始まり、大学院生からの受験に対する貴重なアドバイスまで話題は広く、受験を迎える参加者にとって大いに役に立ったと思われます。