お問い合わせ先

独立行政法人 日本学術振興会
研究事業部 研究助成第二課
企画・調整係
〒102-0083
東京都千代田区麹町5-3-1
TEL03-3263-1431
FAX03-3263-1824
MAILhirameki@jsps.go.jp
※各プログラムについてご不明な点は、それぞれの実施機関にお問い合わせください。

ひらめき☆ときめき サイエンス

プログラムの実施の様子
   過去のプログラム一覧へ戻る

プログラムの実施の様子

東京大学

熱帯植物の不思議をさぐる

整理番号 HT216

実施担当代表者

邑田 仁(むらた じん)

大学院理学系研究科・教授

開催日

平成 19年 1月 14日(日)

開催会場

東京大学大学院理学系研究科附属植物園(柴田記念館)

住所:東京都文京区白山3-7-1

実施の様子

 東京大学大学院理学系研究科では、附属植物園及び生物科学専攻が中心となって、日本学術振興会の平成18年度「研究成果の社会還元普及事業  ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」により、1月14日(日)、「熱帯植物の不思議をさぐる」を開催しました。
 本プログラムは、基盤研究(A)「石灰岩地域における日華区系植物の多様化と分化」(平成9~11年度)、同「南ヒマラヤ地域の植物多様性」(平成13~16年度)、国際学術研究「熱帯植物の異時性に関する進化学的研究」(平成7~9年度)などの成果の社会還元の一環として、中学生・高校生を対象として計画しました。

 当日最初にまず日本学術振興会の担当委員である中村桂子博士から科学研究費および本事業についての説明があり、ついで日程説明と、会場である植物園と柴田記念館について説明を行い、本プログラムを開始しました。午前中は配付した資料と写真の映写を併用し、2つの講義を行いました。

 第1の講義は「熱帯地域でのフィールド調査と熱帯植物の特徴」(担当:邑田 仁)でした。熱帯地域の植生や植物多様性の特徴である、熱帯雨林、渓流沿い植物、アリ植物、幹生花などを話題にとりあげ、それらがどのように進化しているかを説明しました。また、自然条件が厳しい熱帯地域で現地調査を行うにあたっては、その場所で生活している現地の人々と一緒に行動し、その知恵をかりることが不可欠であることを、具体例をあげて説明しました。
 第2の講義は「熱帯植物の葉の形態進化とその遺伝的背景」(担当:塚谷裕一)でした。渓流沿い植物特有の現象である狭葉化や、何年にもわたってたった1枚の葉で生活する1葉植物(モノフィレア)などがどのような成長の仕組みをもっているかを説明し、さらにそれらと似た特徴を示すモデル植物シロイヌナズナの突然変異体を比較することにより、どんな遺伝子が関与しているかにアプローチできることなどを説明しました。
 講義が終わった時「疲れた」という声が聞かれましたが、それは講義を熱心に集中して聞いたことによる疲れであったと思われます。

 昼休みは大学院生3名を交えて楽しく昼食をとりました。その後、植物園温室内で栽培しているミラクルフルーツの果肉をなめ、レモンやヨーグルトの酸味がすばらしいおいしさに変わることを体験してもらいました。ほとんどの参加者にとって初めての体験で、驚きの声があがり、実物教育の醍醐味を味わったようでした。

 午後は2班に分かれて温室見学をしました。真冬にプログラムを実施したのは、寒い屋外から温室に入ってすこしでも熱帯を実感してもらおうという意図によるものです。温室内では様々な熱帯・亜熱帯の植物を観察しました。特にミラクルフルーツの木、巨大な葉を立ち上げているショクダイオオコンニャク、高湿度に保たれた場所で管理されているモノフィレア、着生に適応して空中の水分を利用して育つパイナップル科の植物、海洋島での進化の特徴を示す小笠原諸島の固有植物などを説明し、あっというまに1時間半が経過しました。





 柴田記念館にもどり、休憩をかねてドリアン、パパイヤ、マンゴーなどの熱帯果実を試食し、中に大きな種子が入っており大型の動物が食べて運ぶのに適応していることなどを観察しました。また、大きなバナナの花序を見ながらコウモリが花粉を運ぶこと、雌花、雄花の順に開花してバナナが稔ることを説明し、房からバナナをちぎって試食しました。

 プログラムの最後に、東京帝国大学から明治39年に出版された「大日本植物志」(植物図と記述は牧野富太郎による)第1巻第3集の表紙の図柄を使った修了証書を参加者に授与しました。

 参加者は父兄を含め、12校から24人でした。参加者のアンケートによると、大変好評で「知らない植物がいっぱいあって驚いた。勉強になった」「また参加したい」という回答が多く寄せられました。スライドを使っての講演には、「バナナがコウモリ媒花の種類の一つだとは知らなかった」「先生の発見した新種の植物や食虫植物の話等はとても魅力的だった」、温室見学では、「今まで見たことのないような植物がたくさんあっておもしろかった」「温室の中の植物の多さに驚いた」、クッキータイムには、「熱帯の植物を食べたり、見たり、さわったりできたので熱帯の植物に興味を持ったり、知ることができた」「ミラクルフルーツやドリアンという果物を初めて見て興味が沸いた」などの感想が寄せられました。
 これを機会にひとりでも多くのフィールド科学者が育つことを期待しています。