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当日は、山形大学の大学祭と重なり、人出が多くにぎやかなキャンパスの中で、本事業が実施されました。今回は、山形だけでなく、仙台や盛岡からの参加者もありました。また、家族や兄弟で参加した方もいて、中学生と高校生に加えて、一緒に参加した小学生の姿もみられました。
開会のあと、先ず、科学研究費とはどのようなものか、そして、山形大学理学部生物学科では、どのような科学研究費の助成をうけて、何を研究しているのか、等について、主催者から説明を行いました。 それに続いて、プログラム1では、パラオ海水湖の生物調査(科学研究費基盤研究B)について、半澤直人助教授が、パワーポイントを使用して講演をしました(写真右上)。ジェリーフィッシュレイクという海水湖に大学院生が潜水して、クラゲが多数いる状況を撮影した動画など、が、参加者にとって特に印象的だったようです。パラオの美しい風景や、調査風景(写真右下)などの画像にも関心が寄せられました。会場ではオウムガイなどの海産生物の標本展示がおこなわれ、講演後には参加者が質問をしていました。今回、参加された方は中学生が主であったので、講演内容は多少難しかったかもしれませんが、研究の楽しさはお伝えすることができたと思います。 プログラム2では、「タカとハトのゲーム」と題して、協力行動が進化するプロセスを理解するためのシミュレーションゲームを行いました。このゲームでは、参加者がプレイヤーとなって、会場内で自由に相手を選んで対戦します。ゲームのルールは以下のとおりです。
まず初めに、参加者は自分がハト(協力者)になるか、タカ(非協力者)になるかを決めます。ハト同士が対戦した場合には、お互いの得点が5点、ハトとタカの場合には、ハトは0点でタカが10点、タカ同士が対戦した場合には、より低い得点か、場合によっては減点になります。10人の相手と対戦する形式で、3回にわたり異なる得点表でゲームを行いました。ゲームごとに対戦結果を、その場で集計してグラフで大画面に表示して、参加者に解説しました。タカになることで得点ができるうちは、タカの人数は減りません。しかし、タカになると減点が大きい場合には、タカの数は減っていきます。つまり協力行動が進化するためには非協力者を排除する仕組みが必要になります。自分自身がデータとなって、このような進化の仕組みをゲームの結果として理解できる点が、参加者には好評であったと思います。
昼休みには、参加者は大学祭の屋台を見物するなど、キャンパスの中を自由に歩いて楽しむ様子が見られました。午後から行われた最後のプログラム3では、生き物からDNAを抽出する体験実験を実施しました。はじめに口腔内の細胞をスライドガラス上に塗抹して染色し、自分の細胞に核があることを観察しました(右の写真中段上は観察風景、中段下は顕微鏡写真)。次に、口腔内をミネラルウォーターですすいで細胞を採取し、界面活性剤とタンパク分解酵素をもちいて、常法によりDNAを抽出しました。自らの細胞を使いたくない生徒がいることを想定して、ニホンジカなどから抽出した遺伝子試料を別に用意し、希望により使ってもらいました。最後に、エタノールをもちいてDNAを沈殿させて目で見て確かめる作業をおこないました(右写真下段)。
特に配慮したのは、DNA実験の倫理的な問題を理解してもらうことです。体験実験を通じて、ヒトを対象とした遺伝学的研究の可能性と問題点についての関心が高まるように、プログラム実施上での配慮をおこないました。DNA抽出実験はさまざまな大学の公開講座などで行われており、すでに陳腐化しているので、今回はDNAを封入するネックレスの作成など、単なる実験ではない部分も加える工夫をしました。また、アルギン酸ナトリウムを用いた液滴の作製などの小実験を加えて、家族単位で参加した小学生が飽きないように配慮しました。今回は、参加者3、4人あたり1名の大学院生ティーチングアシスタント(TA)を配置しました。大学院生との交流は、参加者にとって特に印象的であったようです。
実験終了後、参加者とTAが一同に介してクッキータイムとなりました。TAが実験の後片付けをしている間に、用意したお菓子があっという間に無くなるなどのハプニングがありましたが、最後に修了証書を授与して、すべてのプログラムを無事に終了しました。
本事業は、青少年の知的好奇心を直接に刺激して、科学技術への関心をよびおこす大きな効果があると思います。今後は、ひらめき☆ときめきサイエンスの実施成果を参考にして、ホームページなどを通じて、研究成果を積極的に公開する体制を整備していきたいと考えています。
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