日本-欧州先端科学セミナー

開催実績

セミナー開催報告
日欧先端科学セミナー「気候変動」


日時: 平成18年6月24日~29日
場所: Nynashamn, Sweden
概要: 本事業は、日本と欧州の新進気鋭の若手研究者に対して、国際的な指導的立場にあるシニア研究者による講義や討論等を通じて、選定された研究分野の将来を展望し、かつ参加者間のネットワークを構築する機会を提供するために、JSPSとESFとの共催によって開催されるものである。平成18年度は研究分野として「気候変動」が選ばれた。

 本セミナーでは、コーチェアとして京都大学生存圏研究所の深尾昌一郎教授、Professor Kevin Noone, Stockholm Universityを迎え、日欧で21名の講師、50名の若手研究者が一同に会した。また、Special SessionとしてSwedish Research Councilからも6名の講師が参加した。

平成18年6月24日
 セミナー開催地のスウェーデン(Nynashamn)へ日欧の講師及び若手研究者が到着し、21:00からのウェルカムドリンクでは、参加者の簡単な自己紹介を行い、顔合わせが行われた。

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平成18年6月25日
 オープニングでは、本会木曽功理事が開催の挨拶と、本会各種事業についての紹介を行った。その後は、日欧両コーチェアより、本セミナーを開催するにあたっての抱負、進行方法などについて説明があり、本格的にセミナーが始まった。分野別に各講師による講演と質疑応答が行われ、初日から充実した講義となった。また、本セミナーでは、日欧コーチェアのアレンジにより、若手研究者からのオーラルセッションやポスターセッションもプラグラムに組み込まれており、それらの時間には、日欧研究者間の交流だけではなく、講師と若手研究者の交流も活発に行われた。

平成18年6月26日
 前日に引き続き、様々なトピックの講義や質疑応答、若手研究者によるオーラルセッションやポスターセッションが行われた。講義の合間のコーヒーブレイクや食事の際には、各所で講師と若手研究者が交流し、次第に打ち解けていく様子が見られた。

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平成18年6月27日
 午後の講義では、スペシャルセッションとして組み込まれていたSweden Research Councilの6名の講師が講演を行った。Sweden Research Councilには、講演のみならず、ポスターセッション会場にブースを設けるなど、積極的にセミナーに参加、協力していただいた。

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平成18年6月28日
 午後まで講義が行われた後、スウェーデンに特徴的なArchipelago(群島)をボートで回遊するエクスカーションが行われ、講師と若手研究者が一層連帯感を深める機会となった。19:30からのカンファレンスディナーの前には、オーラルプレゼンテーションとポスターセッションで優秀であった若手究者に対し、Awardが贈られた。オーラルプレゼンテーションでは財城真寿美さん(Dr; 神戸大学)とDr. Oskar Franklin (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria) の2名、ポスターセッションでは植村立さん(Dr; 国立極地研究所)とDr. Ben Marzeion (Nansen Environmental and Remote Sensing Center, Norway) の2名が選ばれた。ディナーでは講師、若手研究者ともリラックスした雰囲気で交流を行った。この夕食会には、ESF, Executive DirectorのProf. Bertil Anderssonも出席し、スピーチを行った。

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平成18年6月29日
 セミナー最終日となり、「気候変動」分野で世界的著名研究者のPrinceton Universityの真鍋叔郎教授とアメリカNCARのProf. Guy Brasseurによる基調講演が行われた。この基調講演は、研究領域の広い「気候変動」分野のまとめとなる貴重なものであった。その後行われたパネルディスカッションでは、「気候変動」分野が、自然科学分野だけではなく、考古学や社会科学といった広範囲な研究分野との融合が今後の研究発展に重要となる点などが確認された。

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 クロージングセッションでは、本会ストックホルム研究連絡センターの岡崎恒子センター長より、セミナーに対する謝辞と、ストックホルム研究連絡センターの紹介、本会事業の紹介を行った。クロージングの最後には、深尾昌一郎教授、Prof. Kevin Noone両コーチェアより謝辞が述べられ、セミナーの幕が下りた。

 「気候変動」分野は自然科学の中でも特に研究領域が広く、本セミナーの講師及び若手参加者の専門分野も多岐にわたっていた。しかし、各分野の国際的な代表ともいえるシニア研究者が優れた講義を行い、若手研究者のオーラルプレゼンテーションとポスターセッションにおいて「気候変動」と言う幅広い領域の中で専門分野を異にする研究者が活発に交流を深めることで、「気候変動」分野を網羅した有意義なセミナーにすることができた。
 参加者からは、「帰国後ヨーロッパ側の参加者と連絡を取り合い、お互いの研究情報の交換を始めた。」「セミナーで交流した研究者から研究に関する有意義な情報を得ることができ、今後のネットワーク構築のきっかけとなった。」という報告が寄せられている。

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